雨の日に虎を拾った【呪術廻戦】

6話 ページ7

そんなわけで、謎に包まれすぎた同居が始まって数日が経っていた。





「遅刻すんよー？起きろー。」


『……んん、あと5分……』


「ダメ。」


『寒いよ〜…。』





そしてこの数日でわかったこと。



悠仁くんは朝に強い。



アラームを鳴らし続ける私を見てすぐに理解したのか、毎朝起こしてくれる。





スパダリである。






『行ってきまーす……』


「待った！マフラー忘れてる！」


『面倒くさいからいーや…』


「俺が巻くから付けて？今日寒ぃよ。」





とても世話をしてくれる、朝は何があっても見送ってくれる。





スパダリである。






『ぅ…あ…届かない…！』


「どれ？」


『あれ…』


「ん…あいよ。」





私が困ってたらすぐに来てくれる、そしてスマートに解決してくれる。





スパダリである。







『………これじゃあ、追い出そうにも追い出せない。』






私の周りの男子に比べて、あんなにスマートでいい人なんて初めてで動揺もしている。




初めて出会った時なんてそんなイメージなくて、むしろその逆…傷だらけで怖かったのに。






『………そういや、何も知らないな。悠仁くんのこと。』





いまだに聞けていない傷の謎、居候したいなんて言い始めた理由、全部わからない。





「Aちゃん、今日一緒に帰らない？」





私が考え事をしているとそんな声が降ってきた。


同じクラスメイトの男の子…急になんで？






でも断る理由もなくて『いいよ。』と言ってしまった私は、放課後下駄箱の前で待っていたその彼の隣を歩き始めた。





「あのさ…後で話があるんだけど、どこかカフェにでも行っていい？」



『あ、うん…いい、よ………』





と、学校を出る直前に見えた、最近見慣れてきたシルエットに思わず立ち止まってしまった。



あの目立つ頭と赤いフード…あ、やばいこっちに気づいて……






「あ、A！……と、誰？」




ポケットに手を入れながらこちらに歩いてきた悠仁くんは、隣に立つクラスメイトの男の子をジッと見つめた。





『クラスの友達だよ。ね？』


「あ、う、うん…！どうも…？」


「"友達"かぁ。
………A、今日の夜ご飯何がいー？」


『えっ…何でいま聞くの…』




急な質問に戸惑いつつも考えていれば「ぼ、僕帰るね…！」とクラスメイトくんは行ってしまった。




『え…！なんで！』


「あっれー？ま、いいじゃん。
俺と帰ろうぜー。」


『うん…？』

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