7話 ページ8
「なー、これとかどう?」
『え…あ、うん。いいんじゃないかな?』
「俺やるよ。貸して。」
『あ…りがと?』
…気のせいだろうか。
今日は一段と距離が近い気がする……。
今だって、悠仁くんは私のすぐ後ろから顔をひょっこり出すと、そのまま私が持っていたお玉を横取った。
…一瞬、上から手を握られた気がするのは気のせいだよね。
変な妄想をしながら、隣で様子を見ていればそれに気がついたのか、「あのさー言おうと思ってたんだけど、」と話を振られた。
「Aモテるでしょ?」
『…なんで?』
「んー何となく。
今日のやつも狙ってたみてぇだったしー。」
今日のやつ…ああ、帰り誘ってきたと思えば急に帰っちゃったあの人か。
『いや、それはないでしょ。』
「自分ではわからないこともあんの。
あんまりほいほい着いて行ったらダメだかんね?」
悠仁くんは私の方を見てそう言うと、鍋を持ってあちらへ行ってしまった。
『そんなこと言ったら、私に着いてきた悠仁くんはどうなのよ……。』
悠仁くんは何を考えているのか、未だにあまりわからないんだよなぁ。
結局、彼は何なんだろうか。
何となく聞き出せないまま過ごしているけど、聞いてもいいのだろうか…いや、いいよね。だってここの家主は私なんだから。
『あの……』
「あ、ごめん!ちょっと電話出てくる!」
『……うん。』
ベランダに出て話す悠仁くんを見つめた。
悪い人ではないのなら、一体何なんだろう。
聞けないなら聞かなくてもいいかもしれないけど、やっぱり私はどこかあなたに惹かれている部分があるのだろう。
『あ……笑った。』
楽しそうに電話越しの相手と笑っている。
笑って話せる相手がいるならそこに行けばいいのに。
彼女だったりするのかな……やっぱりわからないことの方が多いや。
私は所詮、家を提供したただの恩人(?)。
だから、別に………
「…どうしたん?具合悪い?」
その声がするまで、私は目の前に悠仁くんがいることに気がつかなかった。
グラッ
『うわっ……!』
「っ…と!危ねぇ!大丈夫?!」
『う、うん…ありがとう…』
あんなに至近距離で顔を覗かれるもんだから後ろによろめいたのを、頭と腰を支えられてキャッチされた。
『ね…近い、もう大丈夫だから…』
「いーや、理由を話すまでは離さん。」
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時