31話 ページ32
『悠仁くん、今日さー…』
「あ、ごめん。
今日も帰り多分遅い。」
『…そっか。頑張ってね。』
その日以来、悠仁くんが妙によそよそしくなった。
私の勘違いなんかじゃないと思う。
何も言ってくれないから、私ってそんなに頼らないのかな。
…と、まあ一人で自己嫌悪に陥っているわけなんだが。
心の中で洪水のごとく涙を流していると、ふとスマホがポケットの中で振動して取り出す。
もしかしたら悠仁くんかも！…なんていう淡い期待はすぐに散るんだけど。
"今日、学校終わったら空いてるか？"
悠仁くんに反比例して、伏黒くんからの連絡が増えた。
連絡先はきっと悠仁くんが教えたんだと思う。
断る理由もないからオッケーの返事をして、午後からの授業に…集中できなかった。
「お前やつれてねぇか？」
『あぁ…わかる？』
「返事がもうAじゃない。」
『あの頃の私と重ねるのはよしてくれよ…。』
「いや、マジで大丈夫か？」
あ、その顔は私を心配している時の顔だ。
重ねるなって一方的に言えない、か。
だって私たちの時間は中学生で止まってるから。
『…あの、それで要件は？』
「別にこれといった用はない。」
『用もなく他人を呼ぶような人じゃないでしょ。』
そう言えば、頬杖をついて私から目線を逸らす仕草。
これ、よく私といたときにやってた。
確かに…これは、あの頃と重ねてしまうかも。
あの頃のドキドキが蘇ってくるかのように、全身が熱くなる。
でも不思議と…うん、全然浮かれている自分はない。
「俺はお前とずっと話がしたかった。」
『……何の？』
「"あの時"の話だ。あれは俺が……」
ｶﾞﾀﾝｯ!
私を驚いたように見上げると伏黒くんが目に映る。
でもごめん…その話はもういいの。
『あれはもう時効だし…ほら、あの時も私言ったじゃん。
"気にしてないよ"って。』
「でも俺が……」
『違うよ…ちゃんとお互いのことをわかってなかった、だから私も悪いの。
私がもっと欲深く伏黒くんを追いかけていたら、そうならなかった話なの。
だから…もういいの。』
まだ彼は何か言っていた気もするけど、お金だけ置いた私は足早にその場から立ち去った。
過去は変えられない、だから目を背けてはいけないってわかってる。
…でもさ、
「A、ちゃん…？」
『え……』
怖いものは怖いんだよ。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え？)続編おめでとうございます！！！ (2022年3月17日 20時) (
レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃっぱ195
| 作成日時：2021年12月26日 0時
