25話 ページ26
え………
今の声、聞き覚えが…
「お、伏黒〜!どこいたんだ……いでっ。」
「それはこっちの台詞だ。
どっか行くなら一声かけろ。」
ドクンッと心臓が強く波打つ。
なんで…なんで伏黒くんがここに………
「はぁ…ったく…
………あ?」
『あ………』
こちらを見た伏黒くんと目がしっかりと合った。
冷や汗がドバドバと流れるのがわかる。
伏黒くんが眉間に皺を寄せたのを見て、ヒュッと喉が鳴る。
不機嫌な時の顔だ…!
「お前……」
「あ、伏黒。この子がA!」
「…名前が同じだとは思ってたが、まさか本当に同一人物とはな。」
『………ドウモ。』
私達の間で、悠仁くんと野薔薇ちゃんが「知り合い?」と目を丸くして言う。
知り合いも何も……
「……………昔、コイツとは付き合ってた。」
『……。』
「え、マジ?」
その場にいるみんなが驚いた声を上げた。
前に悠仁くんがポロッと言った「伏黒」というのは聞き間違いじゃないどころか、私が想像した人物とまったく同じだった。
しかも…なんで悠仁くんの前でサラッと言うのよ!
別にいいけど…何か嫌だ。
「……お前も東京来てたのか。」
『ま、まあね…元気そうだね、あはは。』
「まあな。」
『………。』
……気まず過ぎる。
一刻も早くこの状況を脱しないと息が詰まりそう…。
『じゃ、じゃあね!』と急いで踵を返そうとしたところで後ろからパシッと誰かに腕を掴まれる。
あ…この手、知ってる。
細くて薄い上にすべすべしてて、まるで女の子みたいな手のくせに、やっぱり男子だから私なんかよりも大きいこの手。
「………お前は、元気かよ。
もう大丈夫なのか…?」
振り返れば眉間の皺はなくて、代わりに私の顔色を伺うように不安そうな顔をした伏黒くんがいた。
その言葉の意味を私は瞬時に理解した。
…まだ心配してくれているのか。
優しいなぁ…。
『うん、大丈夫。』
「……何かあれば俺に言えばいい。」
『え…う、うん…ありがとう。』
「じゃあな。」
付き合っていたあの頃の淡い記憶が蘇る。
昔も……そうやって言ってくれたっけ。
「元カレいたなんて聞いてない。」
『まあ、色々あったからね。』
別れて初めて会うのに緊張は一気に無くなって、むしろホクホクと心が温かくなった。
だから気づかなかった。
複雑な表情を浮かべていた人がいたことに。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時