15話 ページ16
あまりに近くで聞こえた声に、私の目の前にいた男は反射的に振り向いた。
その男越しに見えたのは、ポケットに手を突っ込んで首をｺｷｯと鳴らす悠仁くんだった。
酷く、冷たい目だった。
私が悠仁くんを拾ったあの日ほどではないけど、それでも"無"の表情でこちらを見る悠仁くんは得体の知れない何かのようで怖かった。
「やっぱり来たな、虎杖悠仁。」
「おい、その手ェ離せよ。」
「ははっ！何をそんなに怒っているんだ？
この女がそんなに大事か？」
「あれ？俺の声聞こえてる？
……その手、離せって言ってんだけど。」
ｿﾞｸｯ
地を這うような声。
ゆっくりと近づいてくる悠仁くんに、男たちはダラダラと冷や汗を流していた。
私も背筋が凍って動けなかった。
悠仁くんは私の腕を掴む男の手をｶﾞｼｯと掴むと、そのまま上に上げて捻った。
「あ"ぁ…ｯ！」
「で、俺に何の用？」
「お前を倒して連れてくんだよ…ｯ！
俺達の計画のために……あ"ぁぁ！！」
悠仁くんは間髪入れず、男のお腹に膝蹴りを入れた。
初めて見るその生々しい光景に、私は足の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
何より…悠仁くんのそんな姿を初めて見たからどうしたらいいのかわからない。
襲いかかるもう1人の男も、悠仁くんはサッと躱したかと思えば、3連撃で蹴りを入れて一瞬の内に伸してしまった。
そっか…これが悠仁くんの生きる世界____。
自分が見てきた世界とはあまりに違う光景が広がっていた。
私が生きてきた世界なんかより残酷で、哀れで、汚れた世界だ。
悠仁くんはいつだって、私に優しくて、面白くて、時に男らしい一面を見せてくれるから、"普通"の男の子なんだって、そう思ってた。
これが、本当に悠仁くんなの……？
「A…ｯ！」
悠仁くんは、倒れている男達に見向きもせず一目散にこちらに走って来ると、座り込む私の背中に手を添えて、顔を覗きこんでくる。
「ごめん…俺のせいで…俺が、Aを巻き込んだから……」
その顔は、雰囲気は、さっきと違って私の知るいつもの悠仁くんの顔だった。
ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ…
「…ｯ！
ごめんだけじゃ済まないよな…腕、病院行こう。
立てるか？」
『…いつもの悠仁くんがいい……ｯ。』
思わず溢れた言葉に、悠仁くんは目を見開くと困ったように、でもいつもの優しい笑みを向けてくれた。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え？)続編おめでとうございます！！！ (2022年3月17日 20時) (
レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃっぱ195
| 作成日時：2021年12月26日 0時
