1話 ページ2
「…おい、聞いているか?」
『……え、あ…私ですか?』
頭上からその声が降ってくるまで、私の意識はどこかへ飛んでいた。
授業中ボーッとしていた私を見越した先生は「しっかりしろよ。」とやんわり叱って教卓の前に戻って行った。
『はぁ………』
だって…昨日のことが頭から離れない。
なんで私はあんなことを………!
『あーーーっ!!!』
「静かにせんか!」
何が、ウチに来ますか?だよ。
私がそう声をかければ、あの人はゆっくりと顔を上げた。
『…ッ!』
酷く虚な目だった。
こちらを睨んでいるのか、ただボーッと見ているのかわからないほど無機質な表情で、でも獣に狙われているような感覚を覚えた私は思わず身震いした。
怖い…そう思った。
『あ、あぁ…!急に変なこと言ってごめんなさい!
変質者とかじゃないんで通報とかしないでくださいね?!』
「………。」
『〜ッ!
よ、よかったらこれ!使ってください!
今日とっても寒いでしょ?!
では私はこれで!!!!』
求めていないだろうけど、傘を無理矢理手渡した私はそのまま走って帰った。
完全にやばい人だと思うけど、私も完全にやばい人だったな…と、思い返して萎えている。
そんな私を嘲笑うかのように、今日も外では雨が地面を打ちつけていて、尚更私を憂鬱な気分にさせてくる。
早く忘れよう…あんなこと、もう絶対にしない。
その日は結局何をしても身が入らず、ボーッとしたまま家から持ってきた別の傘をさして帰宅していた。
今日はちゃんと大通りを通ろう……はぁ。
人混みに紛れながら、広い交差点の信号をただ待っていた。
「あははー!やめろって!押すなよ〜!」
「お前こそやめろって!」
ドンッ
『おっ……』
背後からの圧力によって私の体は、思いの外前のめりに投げ出された。
何やってくれてんだ…もう。
…あれ、まってこれ横断歩道………
「おい!!危ねぇぞ!!」
「きゃぁぁぁ!」
『……………へ?』
それは完全に私に向けられた声だった。
視線を横にずらせば、眩い光が私を包み始める。
ブレーキの大きな音が聞こえてくる。
あ………死ぬ。
「ーッ!」
キキーッ!
その音と共に私の体は放り出された。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時