15話 ページ16
「ねぇねぇ、今日何時あがり?」
『7時ぐらいですけど。』
「えー7時かぁ。」
『いや、いちいち聞かなくても知ってるでしょ。』
いつの日からか朝からタクシーに一緒に乗るのが普通になってしまった今日も、五条悟は呑気に隣から私に話しかけてくる。
「え、なんか怒ってる?」
『怒ってねぇわ。』
「口が悪いけど大丈夫?」
『お前のせいだろうが…!』
あーー…無性にイライラする。
あれだ…いつも以上にムカつくのは昨日から女の子の日が始まったからに違いない。
最近はようやくドラマの撮影にも慣れてきてやっと心に余裕が出てきたのに。
『はぁ…』と思わずこぼれた溜息を隣の目隠し野郎はジーッと見つめてくる。
『…何ですか。』
「べっつにー?」
.
「大丈夫?もしかして体調悪い?」
撮影の合間に椅子に座り込む私に話しかけて来たのは山本さんだった。
なるべく平然を装って『大丈夫です。』とだけ答える。
やばい、いつも以上に貧血気味かも。
山本さんは私のその様子を見ると「そっか!何かあったらすぐ言ってね!」と言うと、個人の撮影があったのか戻って行った。
『…まあ、気づかないよね。』
ここで私が撮影を中断したら迷惑をかける。
でも…ちょっと気づいて欲しかったかも、なんて。
「Aさーん!撮影再開します!」
『はい!今行きま……
ッ…!!』
一瞬ふらついた足元になんとか耐える。
嘘……私、結構ヤバい?
立ち止まる私に違和感を覚えたのか「大丈夫ですか?」と共演者さんや色々な人が私に注目する。
ここで、耐えないと……
『大、丈夫ですッ!』
「大丈夫なわけないでしょ。」
頭上からそんな声がして振り向く。
目隠しをしたその男が、後ろから私の肩を掴んで支えていた。
『大丈夫ですから…離してください。』
「いーのかなぁ?
そうやって無理して、後から倒れたりした方が迷惑になると思わない?」
『……。』
「はーい、いい子ですね。
…てことで、Aちゃん休憩入りまーす♡」
無駄に明るい声と共に私の体はフワッ…と浮いたかと思えば、五条悟に抱えられたままスタジオを後にする。
『な、んで……わかったんですか。』
横抱きにされるのを抵抗する元気もない中、私はすぐ近くにある五条悟の顔の方を見ながら聞いた。
「別に普通だけど。
僕がどれだけ君のこと見てきたと思ってんの?」
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ちゃっぱ(プロフ) - きのこさん» ありがとうございます…!頑張ります!🔥 (2022年1月20日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 更新楽しみにしております。ファイトです。!(*'▽') (2022年1月20日 1時) (レス) @page44 id: 745e8e7bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - れいなさん» この作品に関しては自分もよくわからなくなる時があるくらいなぜ構造が難しいんですよね…(え?)キスシーンドキドキしてくださいました…?!あのプルプルの唇にぜひ蝕まれた…(黙れ)私も大好きなので定期で狼化(?)させてますこれからもします。ありがとうございます^_^ (2022年1月14日 23時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
れいな - どの作品も奥が深くて「早く早く!続きどーなんの?!」ってドキドキしてます!一番ドキドキした所は、……キスシーンですよね?!あーゆー呪術キャラが狼になるシーンホントに大好きです!個人的に山本さん怖いですねぇ…。リアルにいそう…。更新頑張ってください! (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
れいな - れいなです!「雨の日に虎を拾った」の作品から来ました!ちゃっぱ様の作品がどれも素晴らしいです!個人的に呪術キャラがアタシ好みですしww五条先生の作品の中でトップレベルに好きな作品です!こんな素敵な作品達を作れるちゃっぱ様はどうなってるんですか?!ww (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年8月26日 18時