2話 ページ3
「僕、この花好きじゃない。」
朝、お互い何も着ていない状態から始まって、悟は布団の中で部屋の隅に飾られた水仙を見ながら言った。
"好きじゃない"って言ったのは多分悟なりの気遣い。
あれがどういう意味を持っているのか知っているから。
『……でも、一緒に見た花なんだもん。
花言葉とか抜きで普通に飾っておきたいの。』
「……じゃあ僕とお花見に行こうよ。
で、その花飾って見るたびに僕のこと思い浮かべて。」
『それはなんか嫌だな。』
私のその言葉がトリガーになってしまったらしく、悟は朝だというのにまた私の上に覆い被さってくる。
悟のこういうスイッチは大体知ってる。
だけど今のはちょっと失敗かなあ…。
「ほんっと、僕に対しては塩辛、毒舌、雑だよね。」
『それは悟が私に対してそうだったからでしょ?!』
「はーん?!"俺"がどんな思いでやってたか知りもしないくせによー?!」
『知らねーよ!どんだけ不器用さんなんだよハーゲ!』
あ、やばい。
そう思った時には時既に遅しで、悟の目がぎらついてしまった。
「……そんなに口が達者なら今からでも出来るよね?」
『さ、悟…今日から海外って言ってなかったっけ…?』
「残念!出発は夕方でーす。」
「激しくしちゃおっかなあ。」と言いながら私の体を撫で始めた悟にはもう勝てない。
結局、あいつが満足するまで散々付き合った後、ルンルンで「お土産買ってくるね〜!」なんて言いながら私の家を出て行った。
はあ…何やってんだ私は。
洗面台の鏡で自分と睨めっこしながらため息が漏れる。
首筋に付けられた無数の赤い跡。
『…これ付けたまま任務に行くのいっつも恥ずかしいって言ってるのに。』
あんたの所有物じゃないんだからと、必死にそれらを隠した。
…いつからこんな関係になったんだっけ。
もうずっとこんなんだ。
クローゼットを漁って、今日任務に来ていく服を漁りながら目に入るのはやっぱりあの黄色い水仙。
わかってる…早く退けた方がいいって。
だけどあれが無いと、今までの私たちが幻になりそうで怖いからどうも片せない。
枯れてきて、丁度いいやと思ってもやっぱり買ってしまうんだ。
その横に飾ってある一枚の写真に目を移した。
そうだ、あの頃は幸せだった。
あの頃の記憶を思い出そう。消えないように。
4人の、思い出を。
そう、この物語は私たちの高専時代から始まった。
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ちゃっぱ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして!コメントありがとうございます^_^ オチは作成当初から決めています!ネタバレになってしまうのでオチをここで言うことは出来ませんが、完結間近ですのでぜひ楽しみに待っていただけると嬉しいです( ; ; )ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年6月23日 22時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月23日 19時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年5月3日 14時