両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ22)

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No.67 見るべき背中ページ22

Silk side

兄「ほーん、なるほどな。……お前ってバカなの？」

呆れたように溜息をつきながら言う兄貴。自分がバカだなんてもうとっくに自覚アリだ。それこそ体育祭の時期から。

兄「まずさ、お前がそんな半端な気持ちのまま、そのAちゃんって子に真剣に向き合ってこなかったのが悪ぃな。んな事したらその子が傷つくのなんていくら馬鹿でもわかるぞ」

兄貴は床に胡座をかいて頬杖をつきながら言う。口は悪いが真剣に話を聞いてくれているのだ。

シ「…ごもっともです」

兄「それによぉ、お前俺が前に言ったこと忘れてねぇか？」

シ「前に言ったこと？」

兄「お前、Aちゃんのことよく頭に浮かぶんだよな？

今お前はその子の事で悩んでる。

林間学校で手ぇ繋ぐ時もドキドキした。

海の時に突然触れたい衝動に駆られてキスして、

それ以降話せてねぇから会いたし話したいと。

んでナンパされた時も守ってやらなきゃって思ったんだろ？」

シ「＿＿＿＿＿」

＿＿＿＿思い出した。

“ふとした時に頭に浮かんで、そいつの事で悩んでドキドキして、会いたいとか守ってやりたいとか思える相手には“恋してる”って言えんじゃね？”

“あとは、触れたいとか抑えられなくなるとかあったら。まぁまだお子様のお前には早ぇ話かもしれねぇがなw”

海行った前日、「“恋”ってなんだと思う？」って言う俺の質問に対する兄貴の答え。

兄「……もう答え見えたんじゃねぇのか？」

急速に顔に熱が集まるのがわかる。体中に熱い血が巡り、床のフローリングだけがひんやりと感じる。

シ「…っ、だけど、俺今嫌われてるかもしれねぇんだよ」

兄「そんなの聞いてみなきゃわかんねぇだろ。まずは明日すぐAちゃんと話せ。そっからはお前の好きなようにすればいい」

シ「……なんか、兄貴ってすげぇな」

兄「今更気づいたかw」

ちょっとだけ照れくさそうに鼻を掻く兄貴に飛びつくと、予想通りデコピンが飛んでくる。それも超痛ぇやつ。

兄「俺はその相談された時からわかってたけどなw」

シ「んだよそれはっず…」

「まぁ、頑張れよ」と俺の髪をぐしゃりと撫でて、兄貴は部屋から出た。

子供のことから兄貴(あいつ)はずっと頼りがいがあって、すげぇ憧れる存在だ。

ずっとあの背中を追っかけて成長してきた。また助けられた。

ありがとう、兄貴。やっぱ俺が見るべき背中は兄貴だ。