両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ23)

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No.68 別離ページ23

You side

今日からまた学校だ。通学路を歩く私は一人。いつもより荷物の少ない軽い鞄を持ち坂を上る。こんなに登校するのが憂鬱な日は初めてだ。いつもならあの7人の姿を探して歩くのだが、今日は全く真逆で。みんなから逃げるように早足で歩く。

あの日から毎日考えた。シルクにずっと迷惑をかけているなら、もういっその事諦めようと。そう簡単にいくかわかんないけど、嫌われるよりはずっといい。

だから、もうできるだけ関わりたくない。話してしまえばまた“好き”という気持ちが膨らんでしまう。

……って、後ろの方から声が聞こえる。早く行かないと。

歩くスピードを更に速め、人の間を縫っていく。だが、そんなのはちっぽけな抵抗でしかなく。

ン「あっ！Aー！」

そう名前を呼ばれてしまえば足を止めるしかない。せめて、できるだけ今気づいたように振舞おう。

『お、おはよ！久しぶりだね』

海に行った日からみんなには会っていなかった。来れなかった2人とは修業式以来だ。シルクとは部活で会っていたけど、私から避け続けたから一言も。

また一緒に行こうと誘ってくれて行くことに。なるべくシルクとは離れたところに。なるべくシルクを視界に入れないように。

しかし、私とシルクの間の空気が重く、それを気遣ってかみんなが私やシルクに話題を振ってくれる。だけどそれは逆に辛い。そしてそんな空気に耐えかねて、

ン「……俺達先行くから、2人でちゃんと話しな？」

『ま、待って…！』

遂に2人きりになってしまった。いつもなら喜べる状況が今では真逆だ。

シ「…あのさ、話したいことがあって…。あの日、俺がAの気持ち考えてない馬鹿なことして、お前の事傷つけた。…本当にごめ＿＿＿＿」

『＿＿＿＿忘れて。』

シ「……は？」

『あの日の事、夜にあった事は全部忘れよ？私たちはただ海で遊んだだけ』

シ「いや、ちょっと待てって！俺が話したいのはそういう事じゃなくて……!!」

『これからは追いかけ回さないから。今まで、迷惑かけててごめんね』

…これで、いいんだよね。これでシルクに迷惑かけなくて済む。嫌われなくて済む。

なのに。泣いちゃいそうで、涙を必死に堪える。

『私も先に行くね。遅刻しちゃダメだよ？』

制止するシルクの声に耳を塞いで聞こえないふりを。そのままずっと学校まで走った。先に行ったみんなも途中で追い越した。

＿＿＿＿シルクには私なんかよりもっと素敵な人が似合う。

だから、貴方の幸せを願います。