水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ18)

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『相乗りの帰り道(2)』マサイ×恋人ページ18

マサイside

マ「好きだ。」

俺の唐突の告白にAは目を丸くした。

『わ、私も…！私も、マサイくんが大好きです…！』

負けじと対抗するように、可愛く恥ずかしがりながらそう言って、彼女は視線を外した。

と、そこへ複数の砂利を踏みしめる足音が聞こえた。

シ「見せつけてくれんじゃねーかよっ！」

モ「ちょ、シルク…今いいとこだったんだから邪魔すんなって！」

マ「ほんとだわ…w」

『み、見てたんですか…!?』

「おう！バッチリな！」と自信満々に胸を張るシルク。今の一連の流れを見られていたことへの恥ずかしさからか、Aは俺の背中に顔を押し付けて隠した。

マ「ま、結果オーライか……//」

騒ぎ立てるシルクはモトキ達に任せて置き去りに、俺はペダルをこいだ。

『重く、ないですか』

マ「1人の時と変わらん」

『…優しいですね、マサイくんは』

マ「ほんとの話w」

彼女が後ろに乗っているにも関わらず、ペダルは俺1人の時となんら変わらない。

時々小さな段差で自転車が上下に揺れ、その度に俺のお腹に回る手の力が強まる。それがたまらなく可愛くて、彼女の何もかもが愛おしい。

そんな美しい時間も、学校の最寄り駅に着いたことで終わりとなる。

『マサイくん、夕日が綺麗だよ』

マ「ん？おー、ほんとだ……って、A今…！」

『うぅ…、やっぱり慣れないです…』

マ「もう、敬語やめよーよ？俺たち付き合ってるんだし、同級生だぞ？」

『頑張ってみま…、みるけど、できないかも…』

マ「じゃあさ、好きってタメで言ってみて」

困惑してる顔も可愛いな。

『え、と……。す、すき…………です…』

マ「ぷはっw」

何とか頑張ろうとしたけど、どうやら我慢できず“です”が付いてしまった。

マ「ね、こっち向いて」

Aが「ん？」と顔を上げた瞬間に、俺はこの唇に自分のそれを重ねた。触れたのはほんの数秒間。

『ふ、ぇ……!?』

マ「敬語1回につきキス1回なw」

彼女は俯いて、自分の頬を両手で押さえた。

『わ、私…、今の初めてなんですけど……//』

マ「え、は!?待、ほんとごめん！カウントしたくなければしないでいいから！」

くっそ、知っていたらもっとちゃんと了承を得てからしたかったのに。やっちまった。

『マサイくん、』

頭を抱えていた所で名前を呼ばれて咄嗟に顔を上げると、唇には柔らかい感触が。

『…これ、私のセカンドキスでお願いします……//』

＿＿＿FirstもSecondも、ThirdもForthも。俺が貰うわ。