拾捌話 累side ページ21
変な匂いだ。あの方の匂いなのに、人間の匂いが混ざった匂い。漂うそれは、おかしくなりそうだった。「この人間を襲うな」という暗示でもかけられたかのように、攻撃が出せない。
仕方なく、人間を連れて山の麓まで返すことにした。
『ねぇ、何か話しながら散歩しない？』
まぁ、別にいいか。この人間がどんな奴なのか知りたいし
「別にいいけど」
『累は家族のことは好き？』
僕は足を止めた。
「それってどういう意味？」
『どうって…家族に対してどんな風に思ってるのかなって』
「思ったことはない。だって」
だって、家族なんて＿
「僕を守るためにあるんだから」
あいつらは本当の家族じゃない。こっちに逃げて来た鬼に僕の血を与えて、家族にしただけだ。家族がどうしても欲しかったから。
「でも、みんなは僕を守ってくれない」
『累。それは違うよ』
何故か、人間は悲しそうな顔をしていた。
『それは家族なんかじゃない。自分を守ってもらうための"道具"でしかないんだよ』
道具？…道具だと？こいつ！
「巫山戯るな、人間！僕たちの絆の何が分かる？」
攻撃出来ないことを良いことに、侮辱しやがって！
それでも、人間は言う。
『守られるだけが、存在だけが家族じゃないんだよ。家族っていうのは、ここなんだよ』
そう言って、手のひらを胸に当てた。
『ここが通じあっていないと駄目なんだよ』
何だよ、意味が分からない
僕の考えが分かったのか、人間は何故か微笑んで言った。
『累ならきっと分かるよ。だって、家族を作ったぐらい、家族が欲しいんでしょ？』
こいつ、本当の家族じゃないことを知っていて…
「名前をもう一度、教えてくれ」
『愛乃路 A』
「A。お前も俺の家族にならないか。お前がいれば、家族が分かる気がする」
それを聞いて、Aはまた悲しげに言った。
『ごめんね、それはできない。私には、別の家族がいるから。でも』
俺との距離を縮めると、目の前に手を出した。
『友達なら』
「友達…？」
『うん、ほら』
恐る恐るその手に伸ばす。手を握った瞬間、身体に暖かい何かが巡った。
『これで友達だよ。よろしくね、累』
手を離した後は、何故か寂しく感じた。
『じゃあね、麓まで送らなくていいから』
僕の横通り過ぎて行く。咄嗟に僕は
「また来ると良い」
Aは振り返り、『また来るね』と笑った。
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美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (
レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです！ (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう！うん！それが良いです！(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです！頑張って下さい！ (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです（（（ (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユラン | 作成日時：2019年9月21日 18時
