19/忘れかけていたもの ページ20
「「「A/姉ちゃん/姉さん!ようこそ、山田家!そして、おかえり/なさい!」」」
『ありがとう!あと、ただいま!』
それぞれ手にしていたコップを合わせ、カラン!と音を鳴らした。飲み物を一口飲み、早速目の前に並ぶ豪華なご飯に手をつける。
「その唐揚げ、俺が作ったんだぜ」
「一郎が?どれどれ…」
パクリと口の中に入れ、ゆっくりと味わう。
あ、これ…
「お、おい、A?」
「ど、どしたんだよ!?」
「て、ティッシュ!あ、リビングだ!」
唐揚げを味わっていると、三兄弟がオロオロしだし始めた。
『えっ、何?顔になにか_』
「分かんないの?今にも泣きそうになってるけど…」
え…
熱いものが頬を伝ったのが分かった。
『あれ…ほんとだ』
「気づかなかったんですか?ほら、ティッシュですよ」
「何か変なもんでも入ってたか?」
三郎から受け取り、一郎の質問に首を横に振る。
『違う…美味しいよ』
この味がとても懐かしかった。
"幸せだった夢"を思い出してくれるような_
理鶯さんの料理は(ある意味)美味しかったけれど、これは私にとって忘れかけていた大切なものが含まれた美味しいものだった。
『ほら、美味しさのあまりの感動…ってやつだよ』
「本当か!ほら、まだまだあるから食えよ!」
「姉さん、これ僕が作ったんです。食べてくれますか…?」
「三郎、ズルいぞ!今度は俺のも食べてくれよ!」
『全部食べるから、そんなに進めなくても…』
一郎たちが作ってくれた料理はとても美味しかった。食事を終えた私のお腹は暖かいもので膨れ上がれ、幸せに満たされた胃袋になった。
コンコン…
『一郎、お風呂上がったよ』
歓迎会が終わった後、片付けをして、お風呂に入った。先に、学生である二郎と三郎を入らせたので、もう各自の部屋で一人の時間を過ごしているのだろう。
「お、そうか」
椅子に座っていた一郎は、読んでいた本をやめて、返事をした。
『私、そろそろ…』
「あっ、待ってくれ」
そう言って、立ち上がる。
『うん?どうかし_』
すると、腕を強い力で引っ張り、ベッドの上に座らせられた。
『い、一郎…?』
おそるおそる顔を見ると、目の前にある綺麗なオッドアイは真剣な目付きで私を見下ろしていた。
1779人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラウト - すごくいいお話ですね!!続きがめっっっっっっっちゃ気になります!! (2021年2月17日 6時) (レス) id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続きめっちゃ気になります。更新待ってます。 (2021年2月3日 18時) (レス) id: ef6938680b (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願望から生まれた夜月です。 - すっっっっごい続きが気になりすぎて破裂しそう。更新待ってます……!! (2021年1月7日 2時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(プロフ) - まって、続きがきになる (2020年11月1日 6時) (レス) id: db4fa22712 (このIDを非表示/違反報告)
惟(プロフ) - お願いします………続きをください(´;ω;`) (2020年9月30日 1時) (レス) id: afe49cdc60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユラン | 作成日時:2019年8月6日 22時