モノクロ３＜ARS＞ (ページ18)

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８８【S side】ページ18

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翔「は？」

マ「ですから、今家に帰ってもAさんはいません」

潤「どういうこと？」

今、なぜか車で東京に帰ってる途中

飛行機とか新幹線にしなかった理由がやっとわかった

時間稼ぎだ

俺らが家に帰る時間の

マ「…Aさんから、皆さんのお仕事が終わってから言うように言われてて…」

和「だから何を？」

イライラしてるニノの声はいつもより低い

マ「…Aさんは休暇をとってまして…おそらく明日帰ってくると思います」

智「じゃあ俺ら早く終わらせても意味なかったじゃん…」

あの時、Aに１日早く帰ってくるよって言えば

休暇も短くなってたのかもしれない

マネにあの念押しの意味をしっかり聞いておけばよかった

だけどそれより

休暇をとるくらい俺らといるの大変なのかって不安の方が大きい

マ「ですので…今日はホテルに宿泊しますか？」

何だかいろいろ抜けてしまった俺らは

うん、って頷くしかなかった

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智「Aのやつ、休暇なんかとって何してんだ」

和「日頃のうっぷんとかあるんじゃないの？」

潤「それへこむんだけど…(笑)」

雅「実家とか帰ったりしてるんじゃなーい？」

翔「…まぁその代わり明日オフだし、Aも帰ってくるしね」

車内では

何とかポジティブに考えようと必死だった

昨日、

俺らはAのこと好きって

告白しちゃったわけで

俺らの間は妙な空気が流れてる

メンバー全員が惚れる女なんて

この世に存在しないと思ってた

俺らの誰かが秘密で女優と付き合っていて

たとえその女優を気に入ってても

奪おうとか思ったことない

これ、どうすんだ

Aは特別に誰かを好きなわけじゃないみたいだし

それ以上に無防備すぎる

抱きしめられても恥ずかしがるだけで嫌がらないし

むしろ可愛い顔するから

少し期待しちゃうんだよな

泣いてる顔、好きだったけど

泣かせて、好きって言わせたい

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翔くんのこと死ぬほど好きって

泣いてほしい

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雅「翔ちゃん、起きてる？」

潤「ほら、もう東京着くよ」

窓の外はもう、オレンジから一気に暗くなってて

その景色がAに会いたいなって思わせる

Aのことがこれほど恋しくなった日はない

だけど

あれほど抜け殻になった日はなかった

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