モノクロ８＜ARS＞ (ページ44)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:1,171,509 hit

３１４ページ44

.

智くんとありすさんの悲しい恋

その恋があったからこそ、智くんが私のことを真剣に考えてくれてるのはわかる

智くんの瞳に自分が映る

きっとわかってる

私が思ってることも見透かされてる

だからこそ

言わせない

「私はどこにも行かないです」

智くんの瞳がゆらりと揺れた

綺麗、だと感じた

綺麗な指先が私の頬をするりと撫でて、人差し指と中指で顎を持ち上げられる

智「…A」

首を傾けてゆっくり唇が重なる

頭を優しく撫でられながら、触れるだけのキスは

まるで愛されてるみたいに錯覚しそうで

涙が零れそうになるの

ぐぐっ、と入ってきた舌は

私の口の中を舐めながら、私のそれを探す

舌を見つけて絡ませて、わざと甘い水音をたてられて

溢れる唾液に苦しくなって仰け反ると、親指で喉元を撫でられた

「ん、ふ…」

智「…」

首筋に舌を這わされて、そのたびに熱くなる体は

智くんに押さえられて動けない

こんな恥ずかしいくらいの濃厚なキス初めてで

怖くて智くんにしがみついた

「…も、だめ」

智「…なんで」

「これだけで…死んじゃう」

肩で息をしてる私を馬鹿にしたように見下ろす智くんは

怖いくらいに大人の色気を振りまいてる

智「Aを一生俺のもんにできるならそれでもいい…」

力がふにゃっと抜けて、智くんを見つめることしかできない

智「脱がしてい？」

「…だめ、…ひゃっ…」

細い指がつつつ、と私のお腹をたどる

くすぐったくて、智くんの手を掴もうとすると

指をきゅっと絡められた

智「じゃあ、脱がさないから…」

服の中に手が入りこむ

荒くなった呼吸を智くんが唇で塞ぐ

脳内が痺れるというのはこういうことかもしれない

智くんに翻弄されるたびに、なにも、考えられない

このまま、抱かれてしまったら

私は智くんのモノになってしまう

だけど、智くんは決して性急なんかじゃない

優しく指でたどるから、不快感なんて全くない

だからこそ、ほんとに好きでいてくれてるんだと勘違いしちゃう

「さ、…としく、…っ」

智「ん…？きもちい？」

領とはまた違う愛し方に、頭がくらくらして死んでしまいそうになる

智「…可愛い」

智くんが、頭が真っ白になるところを見つけたせいで

私は意識がとんでしまった

.