モノクロ８＜ARS＞ (ページ32)

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お酒のせいなのか、力が入らない

胸の奥でドッドッ、と心拍数が速くなってる

不意に翔くんに、正面から抱きしめられた

翔「何の覚悟もなしに、好きな女連れ出してるわけじゃない」

後頭部をゆっくり撫でられると、こんな状況なのに安心してしまう

本能のまま胸に寄り掛かったら、翔くんが耳たぶにキスを落とした

翔「離したくねぇし…１日中可愛いA見てたからもう限界」

エレベーターのボタンに翔くんの手が伸びた

だけど

突然、翔くんの体が硬直したのを感じた

「…離せよ」

翔「…」

「え…、吉沢く、…？」

そっくりさんでなければ、間違いなく吉沢くんで

いつになく怖い顔で、私たちの少し後ろに立っていた

吉「ごめん、途中から追ってたんだ」

翔くんが、はあ、とため息をついた

翔「ストーカーなんて悪趣味だな」

吉「…彼氏いる女の子をホテルに連れ込むのも悪趣味ですけどね」

“しかも酔ってんじゃん”って、私を見て呆れた顔をする吉沢くん

吉「てゆーか、今確信したんだけどさ」

ああ、もう、隠すのは限界だったんだ

吉「この人、櫻木さんじゃなくて…櫻井翔だよね」

吉沢くんの目が、いつになく私を責めてるような気がして

緩んだ翔くんの腕を思わず掴んでしまった

翔「…ここじゃなんだからさ、とった部屋でゆっくり話さない？」

吉沢くんにバレても至って普通の翔くんに肩を抱かれて

３人でエレベーターに乗ることに

エレベーターの中は無言で、急速に上がってく箱に頭が痛くなる

チン、と音がして着いた場所はスイートルーム

吉「さすが嵐…、スイートルームなんて簡単にとっちゃうんだな」

吉沢くんがキョロキョロと辺りを見回している間に、翔くんは私をベッドに座らせた

翔「A、とりあえず水飲んで。眠くなったら寝てもいいし、お風呂入ってもいいよ」

持ってきてくれた水を飲み干すと、少しだけ頭がハッキリする

ふぅ、と一息ついて、どうしようかと考えたけど

眠気が同時に襲ってくる

吉「なんか俺、頭痛くなってきた…」

ソファに座って天井を仰ぐ吉沢くんの真正面に翔くんが座る

当然、もう変装はしていない

翔「で、君はAのことが好きなわけ？」

吉「はあ！？」

吉沢くんのおっきな声が、薄れてく意識の中で響いた

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