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翔「映画館が暗くなれば大丈夫だから」
翔くんの低音ボイスが近くに聞こえるのと、ばれちゃいけないっていうスリル
これは、かなり地獄だった
映画が始まって最初の方は、画面に映るまーくんや斗真くんに釘付けだったのに
肩にあった手がすーっと降りてきて、腰にまわる
「翔く…」
翔「シーッ…でしょ？」
小声で訴えても知らんぷりで
肩と肩、足と足がくっついてる
手は相変わらず悪戯を続けて
途中から映画の内容が入ってこなかった
まーくんが必死に走るシーンのところでやっと手の動きが止まった
だけど
口元に翔くんの煙草の香りがして横目を向けると
その瞬間、唇が塞がれた
「……っ」
ニヤリ、とした翔くんの顔を忘れない
映画館の音響で周りには聞こえないキスの音
ちゅ、ちゅ…と舌を吸う翔くんが、私の背もたれに手をついた
映画のスクリーンが見えなくなる
まるでまーくんを見せないかのように
はぁはぁ、と息遣いが耳に流れ込んできて
それが自分の声だと気づいた瞬間、いきなり羞恥が襲ってきた
映画館でこんなことしてるなんて恥ずかしい
恥ずかしいのにもっとしたいなんて思ってしまう
翔くんの前髪がハラリとかかって、すごく色っぽくて
体の力がふにゃふにゃと抜けてしまった
やっと唇を離してもらった時には、もうエンドロールが流れてた
「翔くん…っ//」
翔「斗真楽しみにしてたんでしょ？残念」
斗真くんのこと楽しみにしてたのばれてた…
翔「俺はAといちゃいちゃしたかったの」
悪戯顔で嬉しそうに笑う翔くんに、なんだかきゅううっと胸が痛くなる
翔くんも可愛いところがあるんだなぁ
さっきまであんなにオトコだったのに…
しばらくすると、まーくんや斗真くん、共演者の方々が出てきていろいろお話をする時間になった
まーくんは少し緊張していたみたいだったけれど
無事、挨拶も撮影も終わった
今度誰かを連れてもう１回観に行こう
翔くんのせいで全然内容が入ってこなかったもん！
翔「A、お前は今日１日俺のもんだから」
考え事をしていた私を一気に引き戻した翔くんは
映画館の外へと私を連れ出した
ゆるく指を絡めながら
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作者名：まれ
| 作成日時：2016年3月4日 6時
