モノクロ８＜ARS＞ (ページ27)

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智くんの誕生日プレゼントは、ネックレスって決めていた

領が持っていってしまったネックレスは、たぶんまだ智くんの元に戻っていない

だってあの日以来、ネックレスをつけてる智くんを見ていないから

プレゼントは金のネックレスじゃなくて

銀色のネックレス

でも大阪のコンサートの前に、まーくんの映画公開日が迫っていて

まーくんは番宣にインタビューに大忙しだった

その舞台挨拶は、まーくんに招待されて

でも1人で行くのが…って言ったら、たまたまオフだった翔くんが付き合ってくれることになった

仕事が入ってた智くんたち3人はブーブー言っていたけど(笑)

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今日は、その舞台挨拶の日

関係者が入るような控え室にいる

雅『翔ちゃん絶対バレないでよ？一般の人もいるんだからね！』

斗『翔くんはそんなヘマしないでしょ』

共演する斗真くんが爽やかに笑うのが聞こえる

翔くんの携帯で楽屋にいる2人と通話していた

スピーカーにしてるからか、私がクスクス笑ってるのが聞こえたみたいで

雅『ちょっとお、Aも笑わないで！なんか緊張する…お腹痛い…』

斗『トイレ行くなら今のうちだよ』

“んじゃ行ってくる！”って声が遠ざかるまーくん

翔「雅紀をよろしくね」

斗『Aちゃんをよろしくね』

プツッと切れた電話に、翔くんがくるっと私を見つめた

翔「さ、俺たちも行こっか」

「はい！」

そう返事をしたら、きゅっ…と右手が繋がった

そのまま恋人繋ぎのように指が絡まる

「しょっ、翔くん…？」

翔「怪我させたお詫びのデート、な」

映画館には一般のお客さんもいるのに大丈夫なのかな…

翔くんはちゃんと変装してるけど、バレない可能性はないし…

翔「大丈夫だって。みんな、雅紀たちに会いに来てんだから」

「そう、ですよね…」

翔「カップルのつもりで行く」

そのまま翔くんは堂々と映画館の中に入り、椅子が2つくっついたみたいな席に座った

「な、なんですかこれ」

翔「カップル専用シートってやつ。隣も気にならないでいちゃいちゃできる」

手が解けたかわりに、肩を力強く抱き寄せられる

翔くんの吐息が、耳にかかってゾクゾクした

逃げようとしても逃げられない

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