第七話 欲 ページ8
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それから一週間が経ったある日。
(…平子隊長をお見かけしない！！)
――と、Aは嘆いていた。
もちろんこれまで頻繁に見かけたことすら無かった為、わかってはいたことだ。しかし、気持ちをさらけ出してしまうと人間は欲張りになるらしい。
『…平子隊長』
「何や、真子ならついさっき向こうに歩いてたで」
ウチが蹴り飛ばしてきたわ、と猿柿が言う。
一瞬誰に話しかけられたか分からなかったが即座に気づき『猿柿副隊長！？』と声を荒げた。
そんなAに猿柿は長いからひよ里でええわ、と言った。
『どうしてここへ…猿柿副隊長』
「人の話聞いてへんのか。ひよ里でええ」
『…ひよ里副隊長』
「ひよ里や」
『…ひよ里…ちゃん』
まあええわ、と頭をかくひよ里。副隊長を名前で呼ぶのは初めてでAは緊張していた。
そこで、ふと先程ひよ里が言っていたことを思い出す。
『平子隊長はどこって！？』
「な、何や！あのハゲならあっちの方におんで」
『ありがとう！ひよ里ちゃん！！』
と、Aは早々に消えていった。
先程まであれだけ緊張しぎこちなく自分の名前を呼んでいた彼女に対し、あれが愛の力か、と謎に納得するのであった。
「…タメ口までええとは言ってへんで！！」
そんなひよ里の言葉もAには届いてなかった。
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『平子隊長！』
「うぉ！何や、Aか」
瞬歩で駆けつけたAに驚く平子。
Aはちゃんと名前で読んでいることに喜びを感じていた。
『あ、ひよ里ちゃんが蹴り飛ばしてきたわって言ってましたけど…本当にそうなんですね』
「何やもう仲良うなったんか。…そや、見ての通りや」
平子の顔に蹴られた後があった。
Aは『治しますよ』と平子の怪我を治していた。そんなAに対し、平子は回道もできるんかと驚いていた。
Aは平子の頬を直ぐに治し、四番隊程ではない、と謙遜し笑った。
「男前な顔が台無しになってしまうとこやったわ」
『ふふ、平子隊長はどんなお姿でも素敵ですよ』
「…そこはツッコむとこや。何や素直やと調子くるうのう」
平子はまた眉を顰め口角をぐっと下げる。それを見てAはまた笑った。
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作者名：*蜜柑* | 作成日時：2023年3月3日 17時
