伍 ページ6
いつの間に?
気づかなかった。薫さんの気配が。
いくら前世といえど、人の気配ぐらいは分かる。
「…はぁ…何勝手に人の部屋漁ってんでィ、全く。刀なんか持ってたら危ねーぜ。元の場所に戻しなァ」
『薫さんは、侍なんですか?』
「侍ィ?」
私は山奥に住んではいたが、街に出たことぐらいはある。街には江戸のように帯刀していた人間はいなかった。
「…後で話してやるから、まずはそれをしまって掃除を終わらせろ」
『は、はい』
…
全部屋の掃除を終わらせ、居間にて薫さんの目の前に座る。
「…まず言っとくと、私は侍じゃない。そんな大層なモンじゃないし、既に侍ってのは絶滅してらァ。
私は鬼狩りだ」
『…おにがり?』
薫さんによると、夜になると人を喰う鬼が現れ、夜な夜な人に襲いかかっていると言う。
そんな鬼を殺すために、鬼殺隊という政府非公認の団体があり、薫さんはその最高位の”柱”だったらしい。今は引退している。
「…んで、お前の家族を殺したのも鬼だ。鬼に喰われた」
『…!?』
それを聞いた瞬間、私の中にどす黒い感情が湧いてくるのを感じた。
「本当はこれを言いたくなかった。鬼狩りってのは死と隣り合わせの闘いばっかりなんだ。
もうこれ以上、弟子を殺したくないんでさァ」
睫毛を伏せて震える薫さんの弟子は皆…鬼に殺されてしまったのだと悟った。
「…仇」
『え?』
「…家族の仇は、撃ちたいかィ」
『…』
そりゃもちろん。
何百回嬲っても足りない。何百回殺そうが足りない。
できる限り苦しい死に方で殺さねば、私のこの怒りは収まらないくらい。
『…はい』
「そうか。
お前がそう言うなら、お前を鬼殺隊に送り込まなきゃならねぇ。その為に明日から鍛錬すんぞ。その他諸々は明日説明するから」
明日は早起きだ。
今のうちにぐっすり寝とけ。
と私は寝室に押し込まれた。
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凛 - 早く続きが見たいです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月16日 7時) (レス) @page6 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グミ | 作成日時:2020年1月6日 21時