𑁍 11 ページ28
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あちらの世界に居た時よりも、少し意地が悪くなったのかもしれない。
恋人の困る顔をもっと見ていたいと思う。
だがそれ以上に、笑った顔が見たいと思うからこそ、結局はすぐにそれもやめてしまうのだが……。
欲求不満だと言っていたA。
聞き慣れない単語の意味。
借りたという本の内容。
誤魔化すような仕草から、ただ単に好きと言うだけではなく、何かがあると勘づいていたリヴァイは、Aを尋問するように問い詰めた。やがて観念したAが口を開いた。
「だって、リヴァイ君、その……こういう時、いつも途中でやめちゃうから……」
それは、相手のことを思いやって行為をやめていた事へ対しての、ある種の不満だった。
どうやら必要以上に過保護になっていたことで、逆にAを不安にさせていたのだと知り、リヴァイの口からは舌打ちが漏れた。
Aについて、勝手にそうだと思い込んでいた自分自身にも腹が立ったが、リヴァイが先を進めない事について、勘違いをしているらしいAにも苛立った。
謝ってきたAを抱き上げる。
問答無用で寝室へと運び、ベッドへと彼女をおろすと、そのまま口づけた。
「俺がどれだけお前を抱きたいと思っているか……。A、お前にはそれを知る覚悟はあるか?」
試す意味で、そう口にする。
Aは、しばらく逡巡した後、観念したふうに口を開いた。
「だって……もっと、さわってほしい……」
言われた事に息を飲む。
──こいつ、それがどういう意味か分かって言ってんのか?
そうは思うが、押し倒しているこの状況でもAが抵抗する気配はない。
「怖いと感じたなら言え」
彼女が頷くのを確認すると、どこまで自分を受け入れてくれるのかを見定めながらコトを進めた。
その瞳に、あの男の影が少しでもちらつき、思い出されるようであれば、すぐに引き返せるように。
何度も確認して注意しながら、その柔肌に指を滑らせ、口づけ、痕を残した。
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作者名:Kokubyaku | 作成日時:2024年3月13日 16時