25- 過去編 ページ26
家に戻り
男装を解いて
薫の部屋へと入ると
貴｢お待たせ｣
薫｢やっぱり、Aお姉ちゃん！！｣
貴｢覚えててくれたの？｣
薫｢忘れた事なんてない！｣
貴｢迎えに行くの遅くなってごめんね、あんなことになってるって知ってたら是が非でも見つけて引き取ってたのに｣
薫｢いいんだ、見つけてくれた！迎えに来てくれた！｣
貴｢もう、南雲家の鬼は居ないから大丈夫だからね。薫、貴方はもう雪村薫･･･いや、私が引き取ったから鶴間薫？｣
薫｢Aお姉ちゃんの苗字使っていいの？｣
貴｢いいよ！南雲なんて名乗らせない！あんな人達！雪村か鶴間どちらでもいいからね｣
薫｢うん｣
こうして薫はAの元で暮らし始めた
しかし、一行に千鶴は見つからないまま年月は過ぎた
薫｢お大事にー｣
貴｢もう人居ない？｣
薫｢終わり｣
貴｢そっか、よし！蕎麦食べいこ！蕎麦！｣
薫｢駄目！姉さんそうやって昨日も食べに行ったでしょ？俺が作る！節約して｣
貴｢は、はい｣
薫はひん曲がった性格にはならなかったものの
面倒見がいい母と化した
貴｢薫、料理上手いね｣
薫｢姉さんが勉学ばかりでご飯ちゃんと食べないから！｣
貴｢薫、ありがとう｣
薫｢ったく｣
小さな平穏が続いた
そして、遂に
｢千鶴ちゃんのことか分からないんだけど｣
貴｢それでもいいです！｣
｢貴方の診療所から少し離れた所に雪村診療所というのがあるの｣
貴｢雪村診療所｣
｢雪村の里の末裔が娘と二人でやっているらしいの、千鶴ちゃんじゃない可能性が高いとは思うけど｣
貴｢ありがとうございました、行ってみます｣
･･･
薫｢どうだった？｣
貴｢可能性は低いけどかも知れない人がいるの、行ってみる｣
薫｢俺も！｣
貴｢分かってるよ｣
こうして次の日、Aは薫と共に
雪村診療所に行った
確認だけだったので
気配を消してこっそり除くと
千鶴｢父様、お疲れ様。お茶どうぞ｣
綱道｢ありがとう｣
そこには千鶴の姿があった
けれど、千鶴は消して閉じ込められてる等はなく
雪村綱道の娘として暮らしていた
更に驚いたのは雪村綱道を本当の父親だと
思っている様子で
すっかり昔のことを忘れてるようだった
貴｢薫、今日は一旦帰ろ｣
薫｢え、あ、うん｣
忘れてはいるけど
千鶴が幸せなら･･･
Aは悩んでいた
薫｢姉さん、いい？｣
貴｢うん？｣
薫｢千鶴のこと｣
貴｢うん｣
薫｢千鶴が無事で、幸せなら俺はそれでいい･･･けど｣
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作者名：千 | 作成日時：2017年10月31日 12時
