23- 過去編 ページ24
それからしばらく
平穏な日々が続いた
五歳差はあるが
Aと双子は仲良く姉弟、姉妹のように育った
貴｢千鶴！薫！はい、花冠｣
千鶴｢Aおねえちゃ、ありがと！｣
薫｢ありがと！あのね！おねえちゃんにも作ったよ！｣
千鶴｢千鶴も作ったよ！｣
貴｢ありがとう｣
微笑ましいくらい平穏で
それが続くと思っていた
医学に長けていた母親は
雪村の里で
お医者様の役目もしていた
Aは母に医学を習いつつ
鶴間家の事も少しずつ教えて貰っていた
薫｢えー、Aおねえちゃん遊べないの？｣
千鶴｢どこ行っちゃうの？｣
貴｢ごめんね、薬草取りに行くだけだから。帰ったら遊ぼうね｣
薫｢薫も行っちゃだめ？｣
千鶴｢一緒に行きたい！｣
貴｢駄目！ちゃんとお利口さんにしててね｣
この時Aは一緒に連れていけば良かったと
後に後悔する
母｢さあ、行くわよ｣
貴｢はい｣
山を登り、薬草を取っていると
貴｢ねぇ、お母さん｣
母｢ん？｣
貴｢燃えてる･･･｣
母｢？｣
貴｢里が･･･燃えてる！｣
母｢！？｣
この時、A達が来てから五年後
雪村の里には火が放たれていた
里に戻ると
良くお話していた近所のおばさんや
使用人のお姉さん達もみな
子供も大人も老人も
皆、焼け焦げ倒れ
それはそれは悲惨な光景となった
母｢雪ちゃん！！雪ちゃんどこ！返事して！｣
雪母｢つ･･･ちゃ･･･ん｣
母｢雪ちゃん！｣
雪母｢にん･･･げ･ん･･･が｣
母｢喋らないで！治すから！ね？｣
雪母｢こ･･･ども･･を･･･おね･･･が･･い｣
母｢千鶴ちゃんと薫くんのこと？分かったわ｣
雪母｢あり･･･が･･･とぅ｣
｢おい！｣
貴｢ﾋﾞｸｯ｣
｢まだ鬼が残ってるぞ！ころせ！｣
母｢！A！逃げなさい！これ持って逃げて！千鶴ちゃんと薫くんのこと頼んだわよ！母さんは雪ちゃん連れて逃げるから！薬もあるから大丈夫だから！だから早く行きなさい！｣
貴｢お母さんっ！っ｣
Aは母の強い口調に圧倒され逃げた
｢あ！子供が逃げたぞ！逃がすな！｣
母｢行かせない！｣
振り向きざまに見た母は
髪が白く毛先は黒く
目は黄と青の綺麗な姿
正しく鶴と鬼後を受け継ぐ者の姿だった
遠く離れた所で再び振り向くと
雪村家の家が光っていた
何が起きたのかAにも分からなかったが
後に、人間から自分を守るため
力を使ったのだと知る
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作者名：千 | 作成日時：2017年10月31日 12時
