気がつけば[原田左之助] (ページ3)

今日:15 hit、昨日:8 hit、合計:10,535 hit

3 ページ3

･

後ろで千鶴を追いかけていた浪士の呻き声

不気味な音

千鶴の手を引いて再び逃げる

どうしよう…考えても考えても

答えはない

1｢見つけた！てめぇ餓鬼！｣

貴｢あっ…｣

家の影から私を追いかけていた浪士2人に
道を阻まれる

貴｢千鶴こっち｣

千鶴｢は、はい｣

2｢待て！｣

貴｢ここに隠れて

耳塞いで目を閉じて
私が来るまで絶対動かないで｣

千鶴｢え、貴方は…｣

貴｢いいから！早く｣

千鶴｢はいっ｣

貴｢(千鶴だけでも…)｣

振り向いて浪士と向き合おうとしたが

居ない

｢ゔわぁぁぁぁぁ｣

｢なっなななななにすっ…わ゛ぁぁぁぁ｣

耳を塞ぎたくなるような悲鳴が
2回程近くで聞こえた

貴｢…っ｣

刀をそっと抜き

震える手を何とか抑えながら集中する

貴｢(ここで逃げたら
死…

こんな所で…
やだ…

羅刹は心臓と首…だったよね…

千鶴の事も見殺しにしたくないし)｣

ｻﾞｻﾞｯ

貴｢！｣

羅刹｢ひひひひひ…血を…血を…｣

貴｢っ｣

怖い

手が震えるのを再び抑える努力をするも

やはり怖い

でも…

貴｢ｽｰ…

ﾌｰ…｣

途中から無我夢中だったのかもしれない

ハッとした時には

血を流し羅刹は倒れていた

貴｢…｣

手が異常な程震える

それもそうだ

人を殺めるなんて初めてだ

静まり返った夜の街で

月明かりの薄暗い中

黒光りする血を見つめた

千鶴｢…(静か…終わったのかな
来るまではと言われたけど)

…あの…

！！

危ない！｣

貴｢…｣

大きな声につられ

ふと上を見ると

ニタニタと笑う羅刹が今にも私を殺そうと

刀を振り上げていた

貴｢(殺らなきゃ…千鶴が…私も…殺される)｣

そう思っても

ただ呆然と動けずにいた

いきなり知らない所で迷子

おそらく時代は違って

夜遅く浪士に絡まれ

人を殺めた

もう何もする気力など残ってない

ｻﾞｼｭｯ

貴｢…｣

羅刹が倒れた

目の前の男2人が倒したのだろう

何を話しているのか段々と声は遠ざかった

次に目を覚ました時

私は布団の上にいた

部屋の雰囲気からして

家に戻れた訳ではなさそうだ

貴｢…ここは｣

横に大きな男の人がうたた寝をしていた

貴｢(そうだった…ここ薄桜鬼の世界だ…

じゃあ…この人は…)｣