気がつけば[原田左之助] (ページ12)

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ｻﾞｻﾞｻﾞｯ

舞う桜の向こうの人が原田さんに見えた

でも
目元を拭っても
その人は原田さんに似ている気がして

見つめてしまったら

目が合った

貴｢あっ…｣

目を逸らそうと思ったのに

目がそらせなかった

その人が優しく微笑むから

にっこりと微笑むから

胸が苦しくなって

拭った目元がまたボヤけ始めた

｢見つけた

すまねぇな

待たせちまって｣

大きな手が

頬を覆う

｢泣くなよ｣

知らない人なはずのに

安心した

違うと思うのに

嬉しくなった

貴｢原田さん…｣

｢A｣

貴｢！

ほ、本当に…？

原田さん…なんですか…｣

左之｢なんだよ

気づいてたんじゃねぇのか？｣

貴｢え、だって…私戻って来たんじゃ…

それに原田さんは…｣

左之｢ああ…死んだ｣

貴｢っ｣

左之｢そんで

この世界に生まれ変わって来た｣

貴｢！

…生まれ変わって？｣

左之｢ああ

あん時言っただろ

お前の事を幸せにできるのは
この俺じゃないってな｣

貴｢で、でも｣

左之｢この俺が

お前を幸せにする

ずっと待ってた｣

貴｢でも原田さんには奥さんが！

原田さんと同じように
生まれ変わってるかもしれない！

今なら
幸せにしてあげられるんじゃないですか

私じゃなくて…探すのは｣

左之｢だからここにいる｣

貴｢？｣

左之｢思い出して欲しくてな…

前世のあいつと協力して
世界を繋げた｣

貴｢何…何を

言ってるんです？｣

左之｢前世のあいつの目的は
前世の俺の事が心配だった事

俺の目的は
来世の存在を伝える事だ

それと｣

貴｢それと…｣

左之｢お前に思い出して欲しかったんだよ

前世のこと｣

貴｢前世？｣

左之｢俺の奥さんは

お前の前世だ｣

貴｢え…｣

左之｢本心では今も

思い出して欲しいが

もういい

記憶が無くていい

もう一度俺と共に生きてくれ

あの時は言えなかった

俺が好きなのはお前だA｣

貴｢そんな事っ

信じられないです

だって…原田さんは…｣

左之｢…

そうだよな｣

なんで

なんでそんな苦しそうな顔するの？

始めて会う人のはずなのに

始めてあった気はしなかった

似てるだけじゃない

本当にこの人は原田左之助だ

分かってる

分かってるよ

でも…