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腕輪のような物
でも見たことある様な…
ふと自分の腕に付いているものに視線がいく
貴「これって…」
私が付けていた腕にピタリと重なる形だ
帰る手がかりを最後まで探してくれていた
貴「原田さん…ありがとう…ありがとう
奥さんとどうか幸せに」
大好きです
大好きでした
この世界に来て良かった
本気で人を好きになれたのだから
深呼吸して
腕輪を重ねた
手がかりが出てくるか一か八か…
目の前に橋が出来た
手がかり所ではない
これが鍵だ
貴「か、帰れる…」
これは奥さんと唯一違う…
これは私の為にしてくれたことだ
それが嬉しくて寂しくて
また仰ぎ見た
でもそれは溢れた
貴「さよなら」
明るい江戸村の状況
スマホの時間と日にちを確認しても
時間が進んでいないことが分かった
けど、旅行気分ではすっかり無い
なんとなく心配していたお金も元通りだった
貴「…時間あるよね」
まだチェックインまでかなりある
貴「さくら…あの時のあるかな
なんて…」
京都は変わってない所が沢山あって助かる
貴「あ、あった…人全然居ない
落ち着ける」
久しぶりの洋服に
何故か違和感があって不思議
嘘みたいな日々だった…
貴「夢だったとかじゃないよね?」
ザザザッと
風に揺られ落ちる花びらが
彼らに見えて
原田さんを思い出した
さっきの事だから
思い出したは変かもしれないが
貴「…まぁ、奥さんいたんじゃ仕方ないって」
目を瞑って
心を落ち着かせた
チラつく
彼の安らかな顔
やっと奥さん(彼女)の所へ行ける
そんな安らぎが感じれた
貴「羨ましい」
いいな…
あのまま
あの世界で
死にたかったなんて
初めてそんな事を考えた
貴「それこそ居場所ないのにね」
それに桜が生きろと言っている気がして
貴「なんであの世界に行ったんだろう…
本気の恋は出来たけど…
こんな思いしたくなかったな」
ザザッ
貴「綺麗…」
桜の木の向こうに人が見えて
目元を拭った
ぼんやり見えるその人が
原田さんに見えた
ああ…本当に
私の全てがあの人になってたんだ
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作者名:千 | 作成日時:2019年3月26日 23時