【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

選択２ ページ20

「僕には関係ない」

ピチットはそう言って両手でAの両頬を包み込むように添えた。


「Aがやりたい。勝ちたいって気持ちがあればやれるよ。

　皆Aの努力も実力も知ってる。

　自分の努力と実力と恵まれていることを信じて、自分のやりたい所までやればいい」

「楽しむことも忘れないでね」とピチットは付け加えた。


Aはピチットの手の上に自分の手を重ね、微笑む。

「ありがとう。ピチット」

吹っ切れたような清々しい気持ちだった。


「あ！今の顔撮りたい！！携帯…」

「そうはさせるか」

Aは携帯を取らせまいと頬から離れそうよするピチットの両手をガッシリと掴んだ。









「自分のワガママなのはわかってます。だけど、やりたいんです。

　練習、もっと頑張ります。お願いします！！

　少しでいいので私にシングルの練習時間をください！！」

次の日、Aは練習前にジョンと、アイスダンスのコーチであるキャリーに頭を下げた。

二人からどんな返答がくるのかとドキドキしながら待っていた。


「勝手ね」

最初にそう発したのはキャリーだった。


「それは自分でも…」

「ケビンのほうよ！私に自分の生徒預けたと思ったらまた寄こせって！

　アイスダンスの練習に支障をきたしたらただじゃおかないわ…」

Aは自分ではなくケビンのほうに怒っているキャリーに呆然とする。

ジョンもそんなキャリーに呆れながら笑った。


「キャリーが支障をきたした場合のこと心配してる時点でわかってるだろ？

　俺もキャリーに賛成だ」

「でも…二人の練習時間少し減るよ？」

「その分自分の体力強化トレーニングに回すよ。

　俺スタミナ多いほうじゃないから

　二人の練習時間もみっちりやれば問題ないだろ」


ジョンはAの頭をガシガシと乱暴に撫でた。


「だからAの好きなようにやればいい。

　俺はどこまでも応援する」

「ジョン、キャリー。ありがとう！」

Aはジョンに抱き着く。





「あ、でも2か月後に二人にアイスショーの予定入ったから

　それの練習時間も考えてケビンと話し合わないと…」


キャリーの発言にAとジョンは「え…」と声を漏らした。

「ごめん。急に決まって悪いんだけど、

　私の知り合い主催のアイスショーに私の生徒を出してほしいって言われてね

　これは忙しくなるわね」



「「マジか…」」





シーズン突入まであと1ヵ月。

　

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