【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

子狐からの質問。 ページ37

｢わざとでしょう？｣


Aがスカーレット達と遊びに夢中になっている間、

鬼灯は気になっていた事をリリスへと聞いた。


｢あら、なんの事？｣

｢あの凶霊を引き込みたがってる貴方達が今日私が呼ばれる事を事前に掴んでいたはずです。

なのでAさんから目を離したのもわざとだろうって思って｣


リリスはニコリと笑い、｢あら、バレてたの｣と白状した。

二人の視線の先にはAが楽しそうにカードゲームで遊んでおり、

そんな様子を遠くから眺めるのも昔からの事だ。


｢大体何を企んでるのか想像つきますが、

彼女を危険な目に合わせるのは避けていただきたい｣

｢人聞きの悪い。何かがある前に貴方があの子を見つけるってちゃんと配慮してのことよ｣


ティーカップの紅茶を匙で軽く混ぜ、

鬼灯を見上げるリリスの表情は鋭く、そしてどこか面白気である。

｢大事に育てられたあの子は昔から利口だけどワガママで、寂しがり屋な可愛い狐。

今はだいぶ大人になったけどね｣

｢私とAさんの事は貴女には関係ない｣


Aから｢鬼灯様達も一緒にゲームしましょ！｣と声をかけられ、

｢わかりました｣

と答える鬼灯と｢私は見てるわ｣と笑顔で手を振るリリス。

皆の所へと歩を進めようとする鬼灯の背中へ



｢いい？あの子は利口でワガママで寂しがり屋よ｣



と念を押すように言葉をかけられた。









｢楽しかったですね｣

パーティーの後、リリスに宿泊先が違うのだから鬼灯と会話をしてきたら？

と時間がもらえ、二人はスカーレット宅の隅に置かれたベンチの上で座っていた。


｢もう少し早く会わせれば良かったですね｣

｢遠いので仕方ないです｣

｢…鬼灯様は沢山の方に頼られて、囲まれてます。

今の生活は楽しいですか？｣

｢ええ｣

｢良かったです｣


Aは鬼灯へと寄りかかるようにくっつき、

｢…私の事はどう思ってますか｣

小さな声で、確かにハッキリとそう問う。


｢…そうですね。昔から活発で周りに愛され、明るくする力があります。

私もそんなAさんから元気を貰います｣



鬼灯の答えに一瞬口元が動いたAは

すぐに笑顔を向け

｢嬉しいです｣

と更にくっついた。









Aからの質問の回答の種類を間違えた事が

後に厄介な事件に絡んでくることになるとは誰も思いもしなかった。







『あの子は利口でワガママで寂しがり屋よ』

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