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子狐、開き直ります。 ページ3

怒りが収まっていない様子で仁王立ちするAの前に座らされている桃太郎とシロは俯いており、顔が上げられずにいる。

「もしかして、閻魔大王が私に薬膳粥頼んだのって…」

Aが確認をとると閻魔大王は「てへっ」と舌を出し、

その反応に察したAの顔の赤みは更に増してついには湯気が出てくる。


「で、実際Aは鬼灯様のこと、今はどうなの?」

「あんなの小さい頃の話だもん」

シロの質問にAはプイッと顔を反らして答え、

「あっ好きなんだ」

と図星をつかれ「ぐわああああ!もう黙ってえええ!!」と怒りと恥ずかしさで毛を逆立たせる。


「…もう、これ以上広めないでよ」

Aが切り出した所に篁と樒が現れ、


「あれ?何の騒ぎですか?」

「Aが鬼灯様を好きって話」

「しろぢゃああああん!?」


「Aさんが鬼灯さんを!?」

「あらあら」

口元に手を当て、驚きと照れの表情を見せる。


「夕飯のおかゆは私が担当しようと思ったけど…余計なお世話みたいね」

「樒さん、彼氏が遊びに来た娘が晩御飯の準備積極的にしているのを見たお母さんみたい」

うふふと笑う樒と解説するシロにAは「うわあああ!」と転げまわる。


「帰ったらうちの奥さんにも話そっと」

「お願いだからこれ以上広めないでください!!」

今にも家に電話をかけそうな篁に詰め寄り着物を掴んで揺らすが

当の本人にはまったく届いていない。

収集つかなくなったAは逃げ出したい衝動に駆られ、


「シロちゃんと閻魔大王が仕事サボっていたって鬼灯様に言いつけてやる!!」


と言ってその場から走り去ってしまった。


「ちょっとやめて!なんだかすごく嫌な予感がするんだけど!!」

閻魔大王の訴えは悲しく響くだけであった。









「鬼灯様、晩御飯ですよ」

夕食時、薬膳粥を持ったAは再び鬼灯の部屋へと訪れた。

粥を作っていた時通りすがりの樒の暖かい視線と

運んでいる時すれ違った篁の「がんばって下さい」というエールを受け、

開き直りの感情がAに沸いていた。

「今日は一晩中看病するのでなんでも言ってください」

「帰らなくていいんですか?」

「あんな家知りません!」

「喧嘩でもしたんです?」

鬼灯は起き上がり、粥を土鍋からお椀へと移す。

「例え看病だろうが喧嘩だろうが嫁入り前の娘が男性の部屋で一晩明かすのはよろしくないですよ」




「…鬼灯様は結婚しないんですか?」

子狐の密かな告白。→←子狐、知ります。



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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