検索窓
今日:5 hit、昨日:63 hit、合計:176,474 hit

子狐と紙きれ。 ページ20

発注書を出しにきたAだが、当の鬼灯は不在で

閻魔大王は「今外に出てるんだよ」と教えた。

「そうなんですね」

「なんでも懸衣翁の業務態度対策をするとかで」

「相変わらず大変そうですね」


「所で…」と閻魔大王はAに別の話題を切り出し、

Aはニヤニヤと笑うその優しそうな大きな顔を見上げた。


「鬼灯くんと最近どう?」

「どうもこうも何もないですよ」

そんな閻魔大王の思惑を知っているAは自分の返答に事実を述べただけだが、

恋愛の「れ」の字もない鬼灯に片想いをしているので進展なんてあるはずもなく

自分で言っていてむなしくなりそうであった。


「Aちゃんならもしかしたら…って思うんだけどね」

「私なら尚更ないですよ」

「鬼灯くん、Aちゃんの事は色々気にかけたりして大事にしているみたいだし」

「そりゃあ私を森で拾ったのは鬼灯様ですから、

 現世の動物と同じ感覚なんですよ。知り合いや親戚の子供みたいな。

 第一、お香姐さんやマキちゃんにも優しいですよ」


片想いだと決め付けて譲らないAに

「頑張って押せばいけるような気がするんだけどなぁ…」

と心の中で思いながら頬をかいた。








「返してもらいましょうか」

鬼灯はするどい目つきでマキのマネージャーを持ち上げ、

その様子を後ろからロ達は真っ青な顔をしてそれを眺める。

「恐怖で気を失いかけてるぜ…」

「やっぱり一番の鬼は鬼灯様だね」


同じく真っ青の顔をして持ち上げられるマネージャーは

震える手で懐からとある紙を取り出した。

紙を掴む手の力が抜け、紙はひらりと舞いとある人物の手の中に納まる。


「Aさん」

「どうぞ」

Aが紙を差し出すと鬼灯はそれを受け取って懐へと入れた。

「あまり人目に触れると大変なので助かりました。ありがとうございます」

「大事なものなんですか?」

「ええ」

「そうなんですね。失礼します」


歩き出したAをシロ達は慌てて追いかけて引き止める。

「A、お前さ…紙の中身見た?」

気まずそうに質問する柿助にAは「見てないよ」と答え、再び自宅に向かって歩き出し

そんな後ろ姿を見送るシロ達は不安そうに顔を見合わせた。









帰路を辿るAの脳内には婚姻届に書かれた鬼灯とマキの名前。

「なんだ。結婚するのか。閻魔大王も喜ぶじゃん」


『…鬼灯様は結婚しないんですか?』

『今は考えていないですね』









「嘘つき」

子狐の様子がおかしいです。→←子狐はモテるみたいです。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (116 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
219人がお気に入り
設定タグ:鬼灯の冷徹 , アニメ , 十五
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。