子狐とルリオのお節介。 ページ16
仕事の際、変な噂が飛び交っているのを耳にした。
｢鬼灯様｣
というワードを拾い上げ、Aは耳を集中させて獄卒の噂話を聞いていた。
｢なんでも夜中に白無垢来た女が婚姻届持って鬼灯様の部屋に押しかけたらしい｣
｢え？結婚すんの？｣
その会話にAに雷が打たれた衝撃が走る。
すぐに仕事中のルリオを捕まえて人気の無い所に引っ張りこんだ。
｢何すんだよ｣
｢鬼灯様…結婚するの？｣
神妙な顔をして質問するAにルリオは一瞬何の事だろうかと思ったが、心当たりのある出来事を思い出した。
｢夜中に白無垢着て押しかけて来たやつだろ？
あれは婚活する鶴の手口だよ。
鬼灯様一歩も部屋に入れさせずに追い返したみたいだぜ｣
その事実を聞いてAは胸を撫で下ろし、それにルリオは｢あのよぉ…｣と話を続けた。
｢そんなに心配ならもっと自分からガツガツいけよ。
Aなら白無垢着て押しかけても部屋に入れてくれると思うぜ｣
｢何言ってるの。そんな事したら冷静に
『何してるんですか』って言われて夜間の外出を怒られた挙句に家まで送られるのがオチだよ｣
遠い目をしながら語るAに｢そうか…｣と返しながら、ルリオは汗を流した。
｢それに、鬼灯様は素行に難がなければ私が誰を選んでも文句は言わないって言ったの。
私は知り合いの子供くらいにしか思われてない。
完全に片想いだもん｣
ルリオは頬を膨らませるAの健気な恋心に
父性を感じなんとか協力してあげたい気持ちになったが、
デリケートな問題なので迷いがあった。
｢仕事の邪魔してごめんね。話してくれてありがとう。
ルリオさんバイバイ｣
そう言って手を振って仕事に戻るAを見送り、しばらくその場で考え込んだのであった。
｢鬼灯さん｣
いつものように桃太郎ブラザーズで鬼灯の方に訪ねた際、
シロと柿助がじゃれ始めてチャンスだと思ったルリオは鬼灯に聞いてみた。
｢前に桃太郎と、白澤さんがAを嫁に出すのを嫌がってるっていう話の流れで
もしもAの相手がとんでもないクズだったらどうしようって。鬼灯さんはどう思います？｣
｢まず、指を一本ずつ折ります｣
サラッと出た発言にルリオは一瞬ビクリと体を震わせ、
次々と鬼灯の口から出てくるえぐい仕打ちに質問した事に後悔さえしてきた。
｢こりゃとんでもなく大切に思われてるな…｣
もしかしての可能性にルリオは少し希望のような物が見えたと言う。
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鈴(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (
レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2020年7月2日 3時
