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子狐と言葉。 ページ23

「Aー。鬼灯様がアンケートとってるみたいだけど」

アヤメは給湯室を覗き、そこで飲み物を入れていたAに声をかけた。


「アンケート?」

「なんでも技術課の鳥頭さんと記録課の葉鶏さんの言葉に関して揉めてるみたい」

「また変な事を…」


Aはアヤメにアンケートの内容を聞きながら

「私の分も答えといて」と先程入れた緑茶を一口飲んだ。

「まだ会うのきつい?」

「まあ…。私は鳥頭さん派にしといて。

 理由は相手に伝わらなかったら問題だけど、

 伝わるのであればそこまで拘らなくてもいいかなって」



「…1回、どんな言葉や形でも自分の気持ち伝えればいいのに」

「うるさいな。私は伝えたくないの」








「私とAは鳥頭さん派で」

鬼灯はアヤメに言われ、2票鳥頭側へと記入する。

「…あの、Aさんは?」

「なんか忙しいみたいで」

「そうですか」









Aが主任に記入された在庫管理のチェック表を提出すると、

受け取った主任はお礼を伝えた後に「もう一つお願いがあるんだけど…」と

書類をAへと渡す。

「Aちゃん、閻魔大王に確認してもらって判子もらってきて」

「え…」

「今手が空いてるのAちゃんしかいないの!お願い!」

「わかりました」

Aは笑顔で受け取り、鬼灯の所へと向かうが

内心は憂鬱で仕方なかった。

「…うわぁ」

閻魔大王の前に並ぶ獄卒達の長蛇の列。

その列を鬼灯とお香が整備をして少しずつ対応をしているようだった。

Aは時間がかかりそうである事を主任に電話で伝え、最後尾に並んで自分の番を待つ。

「早く終わらないかな」

その願い通りに対応は順調に進んでいき、あっという間にAの番が来た。


「次が最後ですね」

Aは鬼灯に書類を渡し、「閻魔大王の確認と判子をお願いします」と伝える。

閻魔大王が確認後に判子を押し、すぐにAへと返された。

「Aさん、何か隠してる事があるんじゃないですか?」


鬼灯からの突然の質問にAは固まり、思考を巡らす。


結婚のこと?

気づいているのがバレた?

口が重い。


「…何も」

「私の目を見なさい」

Aは反らしていた視線をゆっくりと鬼灯の目へと合わせた。

厳しく見据えるその目にAは誰かに言いふらされないかと心配なのだろうと思った。

それ程マキが大事なのだと。



「ご結婚おめでとうございます」


ようやく口から出た言葉は大粒の涙と共に零れ落ちた。

子狐想いを断ち切ります。→←子狐、噂をされる。



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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