子狐、尋問されます。 ページ49
桃太郎は淹れたお茶を鬼灯の前に置き、そのお茶を一口すすった後に
「で、転職の話なんですが…」
と切り出した。
鬼灯の向かいに座っているAは冷や汗を流しながら俯いており、
耳は完全に垂れ下がり尻尾も足の間に入ろうと巻いている。
そんな二人の様子を桃太郎と白澤は少し離れた所から眺めていた。
「職場で何かトラブルでも？」
「いえ…至って良好です」
「では、待遇に何か不満が？」
「まったくないです…」
「ちゃんと私の目を見て話しなさい！！」
「は、はい！！」
鬼灯に一喝され、尻尾と耳の毛が逆立ちAは慌てて顔を上げる。
「別に転職がダメだとか、Aさんがどんな職に就こうが自由です。
しかし、選ぶ店が悪すぎる。ぼったくりをしている店じゃなくて
もっとまともに営業をしている店にしなさい。
私のほうからお香さんに相談することもできます。
それに、悩んでいる従業員に何かあったのか話を聞き、
それを改善するのが私の仕事でもあります」
「…別に仕事が嫌になったりとか、職場でトラブルとかはないです。
仕事は楽しいし、とても働きやすいです」
「ではどうして…」
鬼灯に理由を問われるが、本当のことを言おうか迷っているAは言葉をなかなか発せずにいた。
もしかして自分、なかなかバカなことした？
知られたら恥ずかしいのでは？
と考えている所へ
「Aちゃんは自分に魅力がないのが悩みなんだって」
離れた所で眺めていた白澤は代わりに理由を述べ、涼しい顔でお茶をすすった。
「魅力…？」
改めて言葉に出されたAは恥ずかしくてあわあわと焦るが、
眉間にシワを寄せた鬼灯からの「話さないと潰す」と言いたげな顔に観念して口を開いた。
「この前会ったマキさんやお香姉さんは女としての魅力があってとても素敵で。
自分にはそれがないから努力が足りないと思って…」
振り向いてほしくて。
認めてほしくて。
その話を聞いた鬼灯はため息を一つこぼし、
呆れさせてしまったとAの服を掴む手が強くなる。
「マキさんの魅力もお香さんの魅力もそれぞれ個人が持っているもの。
貴女は自分で気づいていないだけで、貴女自身の魅力もちゃんと待っています」
鬼灯の真っ直ぐな視線がAの瞳を捕らえて離さない。
「それに、私はAさんの魅力を知っている」
その言葉に胸が激しく動悸して、血の巡りが良くなったせいか全身に熱が帯びていった。
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (
レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、！鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい！気長に待ってます！ (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀｀) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、！！これからも更新楽しみにしてます〜！！ (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2018年3月7日 0時
