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子狐の白澤様の休日 中篇 ページ29

「おまたせしましたー。ぜんざいです」

運ばれてきたぜんざいは程よい甘さで、餅も良いもち米を使っていただけあってとても美味しい。

Aの綻んだ顔に白澤は慈愛に満ちた顔で見詰める。


「…小さい頃、私が昼寝してる間に桃タローが配達に行っちゃって

 白澤様が泣いてぐずる私を連れて現世に配達に行ったことあるよね」

 
Aがまだ小さい頃、桃タローに置いていかれたAは寝起きなのも相まって激しくぐずっていた。

「泣かないで〜」と抱っこしてあやし、泣き止んだものの機嫌が直らず

どうしたものかと困り果て、現世の世界を見せれば少しは気が紛れるだろうと思い

妖力でAの姿を完全な人型に変えて現世に連れて行ったのだ。


「帰りにアイスクリーム屋さんでアイスを買ってくれて

 白澤様に手を引かれながら見た現世は全部が目新しく、新鮮で

 白澤様の方を見上げたら笑いながら口元のチョコレートを拭ってくれたのも全部覚えてる」

「あったね。そんな事」


隣のテーブルで聞いていた鬼灯は

「新鮮な体験はいつになっても鮮明に覚えてるものですよね」

と話し、その言葉に座敷童子も「うんうん」とうなずいた。


ぜんざいも食べ終わり、店に出たところで座敷童子達が再びAの手を取る。

「Aも遊ぼう」

「閻魔殿でチャイニーズエンジェル観よう」

白澤が折角の誘いだし行っておいでよと勧めようとしたよりも先に「ごめんね」とAが先は双子に謝る。

「今日は白澤様とお出かけしたいから」

「そっか」

「また遊ぼ。今度はチャイニーズエンジェルのイベント行こう」

残念そうにした双子は鬼灯と手を繋ぎ、閻魔殿の方へと帰っていく。

白澤は歩きながら、

「僕の事は気にしなくても良かったのに」

「いいの。今日は久しぶりに一緒におでかけしたいから」

桃源郷に帰りながら今日、朝からずっと気になっている事を口にした。


「仕事で何かあったでしょ?」


小さい頃からモヤモヤとした気持ちを持ちながら考え事している時は少し上の空になる所は変わらない。

白澤の質問に、昔からどこか見透かされてきたAは観念したように笑った。

「…ちょっとね」




『あの子って神獣白澤様の所の子でしょ?』

『もしかしてコネ?』





「この前看護師の人達が話してるのたまたま聞いちゃって…

 仲の良いアヤメちゃんが否定はしてくれてたけど…」



白澤様をバカにされたような気がした。

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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2018年3月7日 0時

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