【鬼灯の冷徹】子狐こんこん

子狐運動会に参加する。 ページ15

地獄での行事である運動会。

前日のリハーサルも経て、今日は待ったなし本番である。


「A、そこの薬箱取って」

「うん」

救護担当で桃源郷から来ている極楽満月一行もテントを組み立てて、準備をする。

前日のリハーサルの経験をふまえて薬や応急処置道具を多めに…。


「あ、ほおずきさま」

準備の途中に寄った鬼灯にAは寄っていき、桃太郎もそれに続いた。


「準備はどうですか？」

「なんとか間に合いそうです」

鬼灯は辺りを見回す。

「あの淫獣はどこに行ったんですか」

「なんか女の人のケツ追っかけてどっかに行きました」

「チッ…あいつを玉投げの玉にしてやろうか…」

「それは好きにしていいんですけど、こっちに危険が及ぶことはやめてくださいよ。

　Aもいるんで」

「昨日はリハーサルで少し短縮していたのですが、

　Aさんも楽しめるやつがあるので是非参加してみてください」

「危険じゃないことを信じてますからね！？」









ついに始まった運動会は前日のリハーサルもあり、

皆の頑張りによって新たな負傷者は前日よりも少ない。


「次は子供用の種目、質問競争ですのでお集まりください」

地獄の住民の子供たちが集まり、危険な様子もなく、スタートの合図も現世の小学校でも見かけるただの笛。

可愛らしい光景に観戦した者たちはほっこりとしていた。


第一走者にAも並び、スタートの笛がなる。

とことこと必死に子供たちが走る光景はそれはそれは可愛い。


「鬼みたいな競技ばかりだったのに、珍しいな。

　でも質問競争ってなんだ？」

桃太郎もAの勇姿を焼き付けようと釘付けになる。


そして子供たちがそれぞれ用意された台へと乗った。

「この競技はこちらが質問をしますので、それに回答をできた子からゴールに向かえます。

　これは突拍子もない質問に答えれるような頭の柔軟性が求められてますのでお子さんの頭脳が試されます」


「就職面接のリハーサル！？」



「それでは最初の質問です。

　こんな大人になりたくないなと思う方とその理由を答えてください」



「そして大人への精神的地獄責め！！正直な子供が言うからこそ壮絶なダメージが与えられるぅぅぅ…！！」




他の子供たちが「お父さん！なんかくさいから！」、「隣のおばさん。香水くさいしケバい」

と子供たちの容赦ない回答に大人たちが次々とダメージを受けていく。


そんななか、Aは一人モタモタしていた。

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