乱歩さんの妹は米花町に引っ越すようです

31話 ページ31

安「どうぞ」




────コトッ





目の前に湯気のたったココアが置かれる







貴「…ありがとう」





僕の向かいの椅子に安室も座る




安「どうして、貴方がジンたちと
知り合いなんですか？」





喫茶店にいる時では想像もつかないほど
────冷たくて暗い目をしている






貴「この前、パーティの護衛をした時に
知り合ったんだ。で、今日はたまたま猫を追って
路地裏に入ったところで再開した」



貴「ベルモットにペースを乱されて
気づいたら車に乗せられBARに連行、分かった？」





返答がないのでココアに息を吹きかける




安「……危機感が足りません」




貴「まぁ、僕が一般人ならば、
その言葉が当てはまるだろうね」




ニヤリと笑う





貴「異能力者、そして物理演算が得意だ
僕には銃弾も通らない、果たして僕は一般人かな？」





安「…そういう問題ではありません」





ため息をつかれる




貴「……なんだよ、僕が悪いみたいじゃないか」




安「もし、ジンが機嫌を損ねて貴方を
…殺せと言い出したらどうするつもりですか？」




貴「確率は低いだろうねああいう組織では
勝手な行動をとるやつから殺されていく」

貴「そして、面倒事を増やすのは
ジンもベルモットもウォッカも嫌だろうからね」






────ダンッ






安室が机を拳で殴る






安「賢い貴方なら……
僕が何を言いたいか分かるはずだ」




何を言いたいか…ねぇ





貴「ふふっ、あぁ、分かるよ
でも僕はひねくれているんだ分かってあげないよ」





安室の顔が歪む





安「もし、本当にそうなったら……
残された人たちは、どうなるんですか」





貴「悲しむだろうね、お兄ちゃんは特に、
それこそ自ら命を絶とうとするほど」





お兄ちゃんが自分の首を絞める映像が
ぱっと頭に浮かぶ




それを頭を振って振り払う





安「なら何故！どうして……
どうしてそんなことをするんですか！！」




あー…めんどくさい


僕は君みたいにいい人でも
正義感があるわけでもない





貴「安室、少し感情的になりすぎたよ」




落ち着くように語りかける



貴「君には誰にも言えない
辛い過去があるんだろう」


貴「そして、それを僕に重ねている」









貴「僕は、みんなを守るためなら
何人でも殺せる、老若男女関係なく」





僕とは違うから
僕みたいに汚れていないから





貴「守る対象には君たちも含まれているよ？」







虚をつかれた顔をした

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