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番外編:聖夜の夜に。二 ページ27

A目線

「(....まあ正直、薄々思ってはいたのだけれど)」



『悪ィA!思った以上に時間がかかりそうで__』


二十四日、夜。


珍しく姐さんや首領にも服装の事で相談し、


洒落たコートに身を包み、長い髪を姐さんに


結んでもらい家に帰るなり彼の帰りを今か今かと


まるで犬の様に待っていた自分の元に

彼から電話がかかってきた。



焦っている彼の声の後ろからは銃声や悲鳴などが

聞こえている。



「ははは....良いよ、仕方ないさ。


気にせず仕事に集中してくれ。


店には僕から予約キャンセルの電話を入れておこう」


と苦笑いで答えると『悪ィ頼む! また落ち着いたら


連絡を___』、そう言ってる途中で電話は切れてしまった。


中也が予約してくれていた店に連絡を入れおわると


着ていたコートを床に脱ぎ捨てると


姐さんが結んでくれた髪も解いた。


ソファーの上で寝転がりうずくまっていると


しばらくして起き上がると彼の酒が入った棚に


手を伸ばした。


年代はバラバラで高いものから安いもの、


後のことなど考えず目に付いたものを手に取り


グラス一つと冷蔵庫にあったつまみ、そして先程


酒棚からとった酒瓶を机におき適当に空けては


グラスに注ぎ、それを一気に呑み込んだ。


それを何度も繰り返した。


後々考えれば、ヤケになっていたんだろう。


いつもはあまり飲まない酒を水の様に呑んで、

瓶が空けばまた新しいのを空けた。


途中で何か面白いものはあるだろうか、と

思いテレビをつけた。


どのチャンネルもクリスマスの話題ばかりで

インタビューで幸せそうに話す人々が異様に

目についてしまう。



「(....中也、早く帰ってこなければ君の大事な

酒がなくなってしまうよ)」


なくなった酒瓶が床に転がり落ちる。


気づけば先程取った酒は全てなくなっていた。


わざわざ取りに行くのもめんどくさく床に倒れこんだ。


「(..一体いつ帰ってくるんだい。


最初は八時ぐらいに帰ってくる、なんて言ってた


癖にもう十時を回っている)」


机の下から少しだけ見えるテレビを見つめる。

幸せそうに話すカップル、家族。


...酒の飲み過ぎか、それとも寂しさからか。

最早わからないが


「(.....中也、やはりこの日を一人で過ごすというのは

寂しいんだ。早く帰ってきてくれないだろうか)」



__そんなことを考えている僕の頰に涙が伝った。

番外編:聖夜の夜に。三→←番外編:聖夜の夜に。



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ししゃも(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!更新待ってます! (2022年8月1日 18時) (レス) @page28 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - こちら新しいアカウントです。よろしくお願いします。 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 3cbc0a3d50 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - 詩猫さん» コメントありがとうございます! が、頑張って更新します....!!!!! (2017年12月22日 19時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)
詩猫 - 面白いです!続きが気になってうずうずしてます笑。 (2017年12月22日 19時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - るきさん» わわ、ありがとうございます...!!頑張ります! (2017年8月22日 0時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:科学 | 作成日時:2017年3月14日 17時

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