[文スト]素敵帽子と交際中[中原中也]

分からない ページ11

ー中也目線ー


「「「「 乾杯！！ 」」」」









そういうと、ガチャンッとコップがぶつかり合う

音がする。









毎年恒例の花見は基本かなり盛り上がる。









..正直、これが横浜を牛耳る闇組織でいいのかと

思うくらいに。









だが今年は違った。









..いや騒がしいっちゃ騒がしいが、こう...




ぎこちない。









..理由は明確、横に彼奴らがいるからだ。









ふと、奴..太宰の方を見ると、こちらに気づくなり

にまーっとしてこちらを見てくる。









舌打ちをして目をそらすと、酒を一気に呑み込んだ。









「(__折角の酒が台無しじゃねェか)」









そう頭をガリガリとかく。









「(桜の綺麗なとこなんて他にもあるだろ。

..彼奴の考えはほんっと分かんねェ)」









そう、こんな状況を作り出した奴...Aの方を

見ると呑気に姐さんから苺をもらっていた。









奴に苺の入った箱を渡している姐さんはというと、

何故か前から、随分とAを気に入っており

まるで孫を見ている祖母のように幸せそうに

笑っていた。









「中也、君も貰いなよ」









そう苺の入った箱を「ん。」と言って押し出して

くるA。









「いや、俺はいい」









「そうかい？」









そういうと、姐さんの元に戻っていくAを








横目に酒を呑んだ。









「..ご機嫌斜めだね？ 」









「首領...、まさか彼奴らの横で酒を呑むだなんて









思いもしませんでしたよ。







..他にも桜の綺麗なとこなんてあるでしょう」









「彼から観ればここが一番綺麗だったのだろう。









...おや。」









そう首領は酒を呑む手を止めて、ある一点を

見つめる。









その先には..









「...何やってんだ彼奴は」





「それ、美味しそうだね。

一口頂けないか？」









探偵社の方に話しかけているAがいた。

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