紫原くん、期待させるのはやめてください。

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「 …だから私、紫原くんへの恋心を封印する！ 」



一通り部活であったことを話し、最後に私が口に出した言葉を聞いて、朝霧ちゃんは目を見開かせ、口をあんぐりと開けていた。

…キスされたこととかは流石に恥ずかしかいら、朝練の話だけ。



「 …そうですか 」

少しして状況を整理したのか、口を閉じてから雪乃ちゃんは咳払いをして、私を真っ直ぐに見た。


「 偉いとは思いますが、
『やっぱり紫原くんに近づきたい…』
と近いうちに絶対相談される気がします 」



う、と今までの勢いが失速し、気持ちが奥へと留められていく。
何も言うことが見つからなくなった私を見て、
雪乃ちゃんは溜息をこぼした。


確かに図星だ。

…今でさえ、あぁ、雪乃ちゃんの前で宣言してしまった。と、後悔の気持ちがある。


朝霧ちゃんの強い視線に合わせることなんて、怖がりの私にはできない。







紫原くんを見ているだけで、好きって気持ちが溢れだしてしまうのはいつからだったかな。



お菓子を私にねだる時、
めんどくさいと試合中愚痴をこぼす時、
でも、不意に見せる“負けたくない”という真剣な顔付き。


…その度に私の心臓の動きは加速して、煩い。



彼を見ているだけで、ブレーキが壊れた車のようにアクセルを踏み続けて、

“好き” が溢れて止まらなくなる。

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