白鷲が四羽 ページ4
アルゼンチンでの生活が落ち着いて、少しして。俺はホセ・ブランコのスカウトという形で及川と同じチームに入ることが出来た。日本のバレーボーラーの中でも小柄な俺は、海外ではもっと小さい。多分、周りから見たら食べられそうな小動物。
「¡reunión!」
「¡Sí!」
そして、舐めていたが故に問題が発生した。マジで言葉が分からない。両言語勉強はしたが、英語でどうにかなるだろうという浅はかな考えで、スペイン語を疎かにしていた。誰か、あの日の俺をぶん殴って。
助けを求めて及川に視線を送ると、またですか、と笑って教えてくれた。
「ミーティングってこと。俺も最初、時間変更とか分かんなくて困ったけど、よく使うヤツとかは慣れるし」
「ホント......? 俺、英語ばっか練習してた......」
「まあ、英語も普通に使うから」
「あ、でもあれはわかるよ。及川を表す単語だから、覚えられた」
「なに? イケメンとか?」
「Percha」
「ハンガーじゃねーし!」
及川と言い合いつつ、ダッシュを競って集合する。
話は、次の試合についてだ。ホセ・ブランコはスペイン語の後に、英語、日本語で説明をしてくれるので助かる。
「次の試合、正セッターは及川でいく予定だ」
「はい!」
喜びが混ざった、高ぶった声で返事をする及川。彼はとっくにベンチ入りを果たしていて、スターティングから出ることも沢山ある。
当然、俺はベンチ外。強豪白鳥沢でベンチ入りしていたのも監督のおかげだ、としみじみ感じた。
「今回も俺の勝ちっ」
「くっ......すぐに同じコート立つから!」
「せいぜい頑張って、粉々に散って、及川様って呼びやがれ!」
「分かったよ、卵爆破及川大王サマ」
「違う! 長い! 言いづらい!」
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作者名:イルカ | 作成日時:2024年4月13日 16時