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意識が浮上し、目を開けるとそこには愛息子がいて、私を潰す勢いで力強く抱きしめてきた。
「おふくろ!!!!」
「…声がデカいぞ鯉伴」
「っ、良かった、おふくろ!」
しかし今は押し返すほどの力も出ず、耐えるしかない。
「おい親父。Aちゃん苦しんでるぞ」
「!あ、悪い」
「けほっ……ここは……」
周りを見てみれば、今は夜。
場所のあの場所ではなくなっている。
「Aちゃん、ここは相剋寺って場所だ」
「相剋寺…」
「奥方様は私と同じで土蜘蛛にリクオ様を誘い出すための餌として攫われていたのです」
「つらら…無事か?」
「私が気を失った後に治療をしてくださったと聞きました。…ありがとうございます…」
「…よい」
何があったかはわからないが、どうやら土蜘蛛との一件は済んだらしい。
鯉伴がいるのもその関係だろうか。
「なぁ、Aちゃん」
「なんだ、リクオ」
「あんた……つらら並みにボロボロだったし、片腕吹っ飛んでたよな?」
「ああ」
「……おいちょっと待てリクオ。
今片腕吹っ飛んでたっつったか?」
「げ」
口が滑った、という様子のリクオ。
私を抱きしめる鯉伴の力がまた少し入った。
どうやらこの様子、腕が吹っ飛んだことは知らなかったらしい。
「お、親父落ち着けって」
「どういうことだ…?この間はリクオ庇ってボロボロになったってしか言ってなかったよなぁ?」
「……おぉ」
「なんで言わなかった!」
責めるように鯉伴はリクオに言ったが、リクオも負けじと言い返した。
「言えるわけねぇだろ!!
オレのせいでAちゃんの腕吹っ飛んだなんて!
ましてや親父に!!!」
「つかなんでおふくろ吹っ飛んだはずの手がちゃんと2本くっついてんだよ!?」
「オレに聞かずに本人に聞けよ!!!」
なんとも仲の良い喧嘩だこと。
なんて他人行儀に考えていれば……
「おふくろ?ちゃんと説明してくれるよな?」
「………確かにリクオの言う通り私の片手は見事に吹っ飛んだな」
「じゃあなんでちゃんと2つ付いてんだ?」
リクオや他の皆も気になるのだろう。
まぁ、それもそうか。
目の前で皆もそれを目の当たりにしたのだから。
「……蛇は脱皮する」
「「「「「は?」」」」」
あまり奥の手は言いたくなかったのだが、仕方あるまい。
「一年に一度しか使えんのだがな。
古い体を脱ぎ捨てて新しい体にする。
そうすれば失った腕も新たに生えてくる」
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棘くん(プロフ) - 更新ありがとうございます!!! (2021年5月30日 16時) (レス) id: 187c3c8143 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!!早速読ませてもらいました!次も楽しみに待ってます!頑張ってください! (2021年5月30日 12時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 紅葉さん» 紅葉様。応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします笑 (2021年5月30日 11時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!これからどんな風に話が進むのか楽しみです!頑張ってください!! (2021年5月22日 18時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - ▼とある黒兎さん» 更新をお待ちいただきありがとうございます!ゆっくりですがちゃんと更新しますので、これからもご愛読くださいませ。 (2021年5月22日 18時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2020年11月12日 18時