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なめるなよ。 ページ30

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花開院本家に戻ってきて、しばしの休憩をしていればここは一気に騒がしくなった。
恐らく、転校生たちが帰ってきたのだろう。
廊下から聞こえる話では京都の知事らがここに避難しに来ているそうな。
避難なのか、なんなのかは分からないけれど私はそう受けとった。



「…騒がしくなってきたな」

「ええ…そうっすね」



青が同意をしてきた。
なにやら広間に人が随分と集まっているらしい。
作戦会議でもするつもりか?



「……御手洗に行ってくる」

「!桜夜さん!なら私も!」

「…………」



私が立ち上がれば、雪女も立ち上がった。
2人とも私がさっき外出をしていたことを悟っていたのだろう。
だから護衛にでも来るつもりか。

正直なところ、要らん。と言いたいところだがあくまでもこれは御手洗に行くから私も一緒に行きたいという意思表示になっている。
断るのは難しい。



「好きにしろ」

「はい!」

「え?あれ…Aちゃんさっきも行ってたような…」

「ああ。緊張してか、どうにもトイレが近くてな。
こんな場所に閉じ込められるのは初めてだから」

「なるほど…私もだよ、それは」



カナは困ったように笑い、行ってらっしゃいと私たちを見送った。
出ていく際に青に目配せをし、しかと彼らを護衛するよう指示をしてからそこを後にする。



歴史ある御屋敷である花開院本家。
少しキィキィと音を立てて歩いていれば、人の集まる広間の方へ向かう。
昼間だから妖怪はまだ夜に比べれば居ないため見張りの人も少ないようだ。



「…奥方様」

「この場ではそう呼ぶな。氷麗」

「は、はい。…その、羽衣狐というのはそんなに危険なのですか?」

「…あれは、平安から転生を繰り返し、長く生きてきた妖怪だ。これくらいはお前も知っているだろう。
…羽衣狐自身も非常に強いと記憶しているが…
京妖怪の重鎮たちが主として仰いでるのは恐らく羽衣狐ではなく、あれが産もうとしてるモノだ」

「え。産む?」

「ああ」



私は、大阪城であった出来事を思い出していた。



「…あれは、母としての無意識の行動だ」

「?」

「あの時、羽衣狐は時折腹に手を置いていた」



妖怪の巣窟に投げ込まれ、何とか生きようと、珱を守ろうと必死だったあの時。
私は相手の動きをしっかりと見つめ、監視するように見つめていたからこそよく覚えている。
あの腹に手を添える行動。
あれは母が産まれてくる子へ思いを馳せる時によく取ってしまう行動だ。


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棘くん(プロフ) - 更新ありがとうございます!!! (2021年5月30日 16時) (レス) id: 187c3c8143 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!!早速読ませてもらいました!次も楽しみに待ってます!頑張ってください! (2021年5月30日 12時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 紅葉さん» 紅葉様。応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします笑 (2021年5月30日 11時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!これからどんな風に話が進むのか楽しみです!頑張ってください!! (2021年5月22日 18時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ▼とある黒兎さん» 更新をお待ちいただきありがとうございます!ゆっくりですがちゃんと更新しますので、これからもご愛読くださいませ。 (2021年5月22日 18時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年11月12日 18時

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