after4*:王様の危機 ページ31
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「俺とレオでAを守ろうな！」
まだ蓮が生まれてない、かなりガキの時の約束だった。
俺にはルカたんを守るというすでに大事な
使命があるというのに和馬はそんな事を言う。
「待ってよ。俺はルカたんのことを
守らなければならない」
「じゃぁ俺もルカを守る」
「だめ！俺のルカたん！」
「ルカは俺の妹のようなもんでもあるんだから
問題ない！」
結局、「ルカたんとAを二人で守る同盟」が
結ばれて和馬は満足した。
突然すぎる和馬に何故かこんなことを
決めたのか聞いてみると和馬は至って真面目に
答える。
「だって俺がいつまでもAの
傍にいれるわけじゃないだろ？」
「…ポピュラーアイドルになるから？」
「そっ！まぁ俺たち二人ともポピュラーアイドルに
なったらお互いスケジュールをずらして
仕事していこうな！」
「んな…お前ってほんと予測不可能だな！わははははっ」
１つ年下の和馬。
コイツは考えることがいつも奇想天外で
周りの大人さえその奇抜なセンスに尻餅を
するくらい。
いわゆる『天才』で『才能』があるタイプだ。
いつも和馬は羨ましい。
「レオ？」
ハッと顔を上げれば、制服姿で和馬の
墓の前に座ってるAの姿が。
同様に俺も制服で突っ立っていた。
「ごめ…」
「？ 早く手を合わせよう？」
「うん…」
和馬が亡くなって、あれから約1ヶ月。
Aはもう少しで高校生だ。
まだまだ子供だと思ってたのに、
時間がたつのは恐ろしい。
二人で並び、きっちりと合掌したあと、
Aが先に立ち上がった。
「レオ！私、男装することにしたんだ」
「…は？」
にこやかに、まるで自分の立てた目標を
発表するかよう。
最近、Aの様子が可笑しいと思っていた。
あまり活発な方じゃなくて表情に出す
こともしない女の子だったのに、
帰ってくるなり笑顔で学校の出来事を
話して見せたり、大声で爆笑したり。
明らかにそれは無理していて一目瞭然だった。
だけどここで合致する。
Aはきっと…
「私、奥木和馬になる！」
無邪気な笑顔の瞳に光はなく、
俺はどうすることも出来ぬまま
本人の墓の前で立ち尽くすだけだった。
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作者名：里小翔 | 作成日時：2016年8月29日 22時
