16*:少年の仲直り ページ17
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翌朝、俺の顔は本当に酷かった。
クマもできて顔もパンパンに腫れてて
前髪なんかぐしゃぐしゃ。
それでも、俺はレオの元へ行き謝ろうと思った。
…本当は、Aとして謝るべきなのかも
しれない。
けれど俺は和馬のほうにした。
なんでか、それはわからない。
「ごめん」
頭を下げると後退りする靴の音がした。
顔をあげてみるとレオは困った風に眉を寄せている。
「いや、謝るのは…」
「オレだ。昨日は本当にごめん」
何がって言われると困るのだけれども。
だがさすがは幼馴染。
どうやら理解してくれたらしく、
少しだけ頬を赤くしていた。
いや、照れると困る。
「…俺の方こそごめんな。
ついカッてなっちゃって…」
「うぅん。レオは悪くない。ずっと悪くない」
「…いやその…うん。仲直りしよう」
「してくれるのか?」
「俺、Aとも和馬とも仲良くしたいからさ」
にへへ、と笑うレオの笑顔に少しホッとする。
良かった。元通りになれそうだ。
「ところでー、Aは明星の事がすきなのか〜?」
「…今オレ和馬なんだけど」
「いーじゃんいーじゃん」
レオの突然すぎるアホな質問に
冷静に考えてみる。
実は最近よく考えてしまうのだ。
私は明星をどう思ってるんだろって。
前は本当に苦手で関わりたくなくて
卒業まで絶対仲良くしないし出来ないと思ってた。
それがどうだろうか。
積極的に話しかけてくれるし、私もそれを
拒んだりしない。
…心境の変化?
自分ではわからない。
「うーん…そこまで嫌い、じゃないかな…?」
「好きなのか?」
「どうだろ…わかんない」
「恋愛としてだぞ?」
「それはない」
即答すると呆れたように、でも優しく微笑むレオ。
ズバッと言うな〜とお気楽そうだった。
「友達としてなら?」
「友達として好き…うーん、好きってほど好きじゃない…」
「そんな印象悪いのか」
「うーん悪いわけじゃないけど、
やっぱり苦手かな…」
「煩いから?」
「そうかも」
だけどさ、とレオは言う。
「お前、明星の話になると楽しそうだぞ」
「え…」
「わははっ」
そんなわけないだろう。ばかレオめ。
なんだか酷く恥ずかしくなってきて、
レオの肩を思いきり殴った。
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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年8月29日 22時