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∇lesson14 ページ15

真「ただいまー」

あ「お母さん暫く出張でいないんだ。
すぐご飯作るね」

真「ふーん…」


いそいそと荷物を置いて台所に向かう。

お兄ちゃんはリビングのソファーに腰をかけた。


あ「ご飯なにがいい?」

真「魚類以外!」

あ「はいはい」


じゃぁ野菜炒めとかにしようかな。


お兄ちゃんがテレビの電源をつけるのを

確認してから料理を始めた。


お母さんとお兄ちゃんと暮らしてるけど

お兄ちゃんは夜遅いしお母さんも

お仕事忙しくてほぼ独り暮らし状態だったから

無駄に料理スキルは上達している。


自慢じゃないけど料理は得意。


あ「野菜炒めだからー…にんじんと、ピーマンと…ん?」


冷蔵庫の野菜室を開けてみるとびっくり。

大根とにんじんしか入ってない。


キャベツもピーマンもなかった。



大根とにんじんで野菜炒め?

出来るわけがない。




あ「お兄ちゃん、ごめーん!
ご飯買ってくるね!」

真「え?僕いくよ?」


いつの間にか着替えたお兄ちゃんが

ひょこっとリビングから顔を出す。


あ「大丈夫だよ。お兄ちゃん疲れてるし
今日は休んで!」

真「でももう遅いし…」

あ「5分だもん。平気平気」

真「……そっか。ごめん、よろしくね」



お兄ちゃんの力無さそうな笑顔。

やっぱり疲れてるじゃん。

それに、毎晩遅くて今日も早かったから

疲れてるよね。



あ「うん!ほらほらリビング戻って!
すぐ帰ってくるからお腹すいたらパン食べててねー」

真「うんわかったー。気を付けてね」

あ「了解っ」



お兄ちゃんに敬礼をして玄関を出る。


さっきはまだ明るかったけど今はだいぶ日が

落ちてきていてチラホラと星が見えてきた。


綺麗にオレンジでグラデーションされた空を

飛行機が横切る。


世の中平和になったなー。



ふと、幼い頃の声が聞こえてくる。



『もうっ…もうやだ……!!ぼくは…僕は……!!』

『お、お兄ちゃん!!しっかりして?!』

『嫌だっ…もう……消えたい…僕はなんの為に……』

『お兄ちゃん…』

『もう…何もしたくない……何もしたく…』




今でも鮮明に思い出す兄の怯えた姿。


暗い部屋の隅で頭を押さえて実の妹の

前で顔がぐちゃぐちゃになるくらい号泣していた。



あ「…私、お兄ちゃんの支えになってるかなぁ」



ポッカリ見える三日月がなんだかボヤけて見えていた。

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里小翔(プロフ) - ミュア☆ミュアさん» 本当ですか!なんだかやりきった感あります笑笑番外編がんばります!! (2015年7月30日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
ミュア☆ミュア(プロフ) - 過去編の話泣きそうになりました。番外編の話もがんばって下さいね! (2015年7月30日 21時) (レス) id: 7d2b816aaa (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - いちごパフェさん» ありがとうございます!過去編泣きそうなんですか?!笑笑泣くかは分からないですけど主人公とクラスメイトとの関係が書けたらいいなぁと思ってるので!!(笑)コメントありがとうございました(*^▽^*) (2015年7月30日 15時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
いちごパフェ(プロフ) - 続きが気になります( ´ ω ` )過去編、泣きそうです… (2015年7月30日 9時) (レス) id: c194704685 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 桜姫さん» ありがとうございます!合宿ならばとお風呂シーンを入らさせてもらいました!応援ありがとうございます!頑張ります! (2015年7月29日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2015年6月23日 21時

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