・ ページ31
「はい？」
「いや、妙な男に好かれて、あんたも大変だなと思って」
「あー、まぁ……そう、ですね……」
「……ま、無理せんと、たいぎゃにがまだしなっせ」
「……え？」
なんて、言った？
ふっと笑った橘さんは呆れたように彼らの後を追っていった。
今のは方言なんだろうけど、一体どこの方言なんだろうか。
がまだし、ってなんだろ。
ニュアンス的に頑張れよ、って感じか？
いや、だとしたらそんなエールいらんのだけど。
エールより、助けて欲しいんだけど。
と言えど、橘さんにそんな義理もないことは分かっている。
というか、なんだかんだ彼らがいてくれて良かったのかもしれん。
おかげで、鳳くんとの秘密を隠さずとも
探られずに済んだからね。
千石さんのハチャメチャさに救われながら
蝉の煩い木の下で彼の帰還を待っていると
ふっと前を通り過ぎた1人の人物に思わず声を零した。
「手塚、さん……！？」
「……ん？ お前は確か、氷帝の……」
「どうも……」
ラケットバッグを背負った手塚さんが
私の声に振り返り少し考えた後声を出した。
特に驚く様子もなく、
私を見た手塚さんは少し顔を顰めた。
「ここで何をしている」
「え、えっと。跡部先輩に、連れて、こられて。
彼を待っているところです」
「別に中で待てばいいだろ。何故入らないんだ」
「いやだって、マネージャーと言えど、
部外者みたいなもんですし。公式にお呼ばれもしてないんで」
「こんな炎天下に長時間いたら熱中症になるだろう。
跡部は一体何を考えてこんなところでお前を待たせているんだ」
「あ、別に大丈夫ですよ。木陰になってますし」
「いいから来い。せめて室内で待て」
「いや、ほんと、大丈夫です。お構いなく……」
いやがおうにも私を中へ連れていこうとする手塚さんに抵抗した。
部長とはみな、こういうものなのだろうか。
お構いなくと言ったのにお構いしようとする彼は
優しいのか優しくないのかよく分からない。
まぁ、特別な感情を持っているわけでもなく、
こんなところで野垂れ死なれたら
夢見が悪いと思ってのことなのだろうが。
そこまで私だってやわでは無いと首を振って拒否り続けていると
視線を逸らした手塚さんは突然声を張った。
「……おい、切原！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優(プロフ) - 財堂若也さん» 応援コメントありがとうございます！ 一応ラストスパートかけているつもりですが文章力と発想力が乏しくオチを見失いかけておりますw あと2シーズンくらいは要するかもしれません…すみません…気長に見ていただけると幸いです… (2020年12月31日 20時) (
レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
財堂若也 - ラストスパートかかってきた感じですか？更新頑張ってください！ (2020年12月31日 19時) (レス) id: 7fa4fbfbfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2ytluvuusham081 | 作成日時：2020年12月29日 12時
