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再び眠気が吹っ飛んだ ページ42

眠い。眠すぎる。






一応言っておくが、屋上で居眠りこいたあの日と、

うつらうつらと船を漕ぐ今日は同日ではない。






なんならあの後は眠気なんて微塵も無かった。






予鈴の鐘の音で目を覚ました私は、

颯爽と塔屋から飛び降りた跡部先輩と

ジロー先輩の後を追おうと立ち上がった。






しかし、長時間同じ体勢でいた私の足は痺れに耐えきれず

下にいたジロー先輩を下敷きに無様転げ落ちたのだ。






ジロー先輩が不本意にも下敷きになってくれたことで、

怪我こそしなかったものの眠気なんていずこへ吹っ飛んでいった。






あの時は、大丈夫かと口だけの心配をしつつも

珍しく跡部先輩が吹き出して笑っていた気がするなあと

痛みでそれどころでは無かった情景が

今になって思い起こされている。






そんな私は半分夢現である。






恐らく夢現なのは私に限ったことでは無い。






暗幕の下りたこの空間にいる、

八割方の生徒が私と同族だと勝手に自負している。






多くの生徒達を催眠にかける今日はオペラ鑑賞会。






しかし、中学生には絶対に必要の無いものな以上、

公然なる睡眠導入会だと私は理解していた。






少なくとも、何語かも最早分からない上に日本語で無い時点で

私に必要でないものなことは確かだ。






もう、無理。






幕の中にいるタミーノとパパゲーノに

心内で別れを告げて瞼を閉じた。






私が真剣に見ようが見まいが

どうせハッピーエンドなことに変わりは無い。






パミーナだかパミールだか知らんがどうかお幸せにと

思ってもない祝辞を並べながら

暗転していく意識に逆らうことなく沈んでいく。






と、同時に頭に何やらほんわりとした重みを感じ

遠のいた意識が呼び戻された。






寝ぼけ眼で頭に感じる重みの要因を探るべく

手を頭のてっぺんに伸ばす。






そうして私の手のひらに触れた何かは人肌のようだった。






なんだ何事だと頭の上のそれを引っ掴んで

目線の高さまで持ってくれば

それが人の手だったことに更に困惑した。






掴んだ手から伸びる腕を辿って視線を持ち上げていくと、

頬杖をついて私を見つめる男と目が合ってしまった。

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 時雨さん» 右隣の男子が予想外に気にかけられすぎてて困惑しておりますww 高評価までありがとうございます…! お陰でノリノリに更新欲が湧いてきました! 頑張ります! (2020年12月16日 22時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 優さん» 右隣の男子は消えたりなどしないよ…ってことですねwwもちろん一番右側の☆押しておきました!! (2020年12月16日 19時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 時雨さん» 嬉しいコメントありがとうございます! なによりの励みになります!! 右隣の男子は……神隠し、ばいね……(今後本編で明らかになる……かも? それまではご想像にお任せしますww) (2020年12月16日 5時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - すごく面白くて一気読みしちゃいました!!これからも更新頑張ってください、楽しみにしてます!!右隣の男子はどこへ…? (2020年12月15日 22時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/  
作成日時:2020年12月3日 18時

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