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昼飯を食いそびれる ページ35

「……すごく眠そうだね、A」






「……まあね」






机に項垂れる私の上から擽ったい笑い声を漏らしながら

声を掛けてきたのは朝練を終えて戻ってきた鳳くん。






眠い。本当に眠い。






上瞼と下瞼が仲良しこよししたがるのを

必死に堪えながら体を起こして鳳くんを見上げた。






「鳳くんも朝練、お疲れ様」






「ありがとう。その、なんていうか、Aもお疲れ様……」






「……何もしてないですけどね、私は」






そう、何もしていない。






何もしていないのに、何もすることなどないのに

私は何故か彼らの朝練を呆然と見つめていたのだ。






何故かって、そんなの決まっている。






昨日の宣言通り跡部先輩が6時半に迎えに来たからだ。






最初こそ、いつも通り無視してバスで行こうかとも思った。






ただ、6時半に家の前にいなければ

8時半に迎えを寄越すと言われてしまった以上、

私ごときの為に迎えに来させられる運転手さんに

すごく悪い気がして、無駄にお人好しな私は

しっかり6時半に家の前で待っていたのである。






あの跡部先輩でさえ

驚き半分の表情で家の前に立つ私を一瞥していたが、

別に私は彼の為にわざわざ6時半に間に合うように

起きたのでは無い。






言ってしまえば、まだ見ぬ運転手さんの為と

テニスをしている鳳くんを見られるのならまぁいいかなんて

お零れくらいの気持ちで待っていたのだ。






というか、自分で6時半に迎えに行くと言っておきながら

驚いた顔をされるのもなんだか腑に落ちない。






まさかお前が起きられるとは思わなかった、

なのか

まさか俺様の為に待っていたのか、

なのか。






どちらにせよそれは不正解でしかないのだが。






「でも、お陰で跡部さんすごく機嫌良かったから助かったよ。

ありがとう、A」






「助かった、って。どういうこと?

機嫌悪い時は何か不都合なことでもあるの??

練習キツくなるとかそういうこと??」






「あー、まぁ……その、ミスペナルティが

少しキツくなったりはするかな」






「……なるほど。まぁ、お役に立てたなら何よりだよ。

もう二度と行かないけどね……」






「俺も、」






「ん?」

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 時雨さん» 右隣の男子が予想外に気にかけられすぎてて困惑しておりますww 高評価までありがとうございます…! お陰でノリノリに更新欲が湧いてきました! 頑張ります! (2020年12月16日 22時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 優さん» 右隣の男子は消えたりなどしないよ…ってことですねwwもちろん一番右側の☆押しておきました!! (2020年12月16日 19時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 時雨さん» 嬉しいコメントありがとうございます! なによりの励みになります!! 右隣の男子は……神隠し、ばいね……(今後本編で明らかになる……かも? それまではご想像にお任せしますww) (2020年12月16日 5時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - すごく面白くて一気読みしちゃいました!!これからも更新頑張ってください、楽しみにしてます!!右隣の男子はどこへ…? (2020年12月15日 22時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/  
作成日時:2020年12月3日 18時

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