脳漿炸裂ボーイ【跡部 景吾】

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「俺様も一緒にバスで行ってやるよ。

それなら文句もないんだろ、お前は」






「……えーっと、それはまた話が変わってくるんですけども」






「御託はいいからさっさと準備してこい。

生徒会長が遅刻なんざ笑えねぇから早くしろ」






「……」






知らんよ、お前の面子(メンツ)なんて。






そう言えたらどんなにいいことか。






しかし私とてこんなくだらん理由で遅刻なんてしたくない。






ならば、せめてもの抵抗だと黙って扉を閉めリビングへ戻った。






準備を終えて、再び玄関の扉の前に立つ。






どうか、いなくなってますようにと

淡い期待を抱きながら扉を開ければ

文庫本を片手に当たり前の顔で待つ男を見て、

家に閉じこもりたい気に駆られた。






「俺様ナルシストじゃなければなぁ……」






「おい、まさか俺様の事言ってんじゃねぇだろうなそれ」






「あっ、いや。なんでもないです」






無意識にも零れた言葉は、

彼の耳にも届いていたらしく鋭く咎められた。






ただ、嘘偽りない私の本心なのだから仕方ない。






私を待つ彼の姿が

あまりにもカッコイイというか、美しいというか

これが彼氏だったら確かに自慢できるなと思った反面、

それは性格に難が無ければの話であって。






この容姿で鳳くんの性格だったら確実にもっとモテていたと思う。






ったく、損な男だ。というか本当に勿体ない。

宝の持ち腐れとはまさにこの事。






迎えに来てくれたのが鳳くんだったら良かったのになぁなんて

めちゃくちゃ失礼なことを空虚に浮かべながらも

彼と並んでバスを待つ間、ふと思った。






「跡部先輩って、バス乗ったことあるんですか？」






「アーン？」






「いや、車で通学するところしか見た事がないので。

バスなんて乗ることあるのかなって」






「あぁ、乗ることもある」






「え、乗るんですか？ なんで？？」






「なんで？？ なんでってなんだ」






「車どころか遅刻しかけるだけでジェット機飛ばす人間が

バスなんて乗る必要どこにも無くないですか？？」






「そりゃ好きで乗るわけでは無いが……

ただ、部活でも送迎禁止の学校に行く時は

どうしようもないからな」

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