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靴下のまま玄関の土間を踏みしめ、

ガチャ、と開けた玄関の扉の隙間から顔を出した。






視界に捉えた男に向かって人差し指をクイクイと2回折り曲げる。






すると、片眉を上げて明らかにイラッとした様子の跡部先輩が

ゆらっと体を起こして近づいてきた。






「俺様を指で呼び寄せるなんざ、随分といいご身分だな」






「貴方には言われたくないです跡部先輩。

っていうか、なんでいるんです」






「そんなの見て分かるだろう。

お前を迎えに来てやったんだよ」






フン、と鼻で笑った跡部先輩は

どこか得意そうに悪びれゼロで言った。






何故そんな有難く思えくらいのテンションで

言われなきゃいけないんだ。







頼んでないと何度言えば分かってくれるんだ。






「ならせっかく来て頂いたところ申し訳ないんですけど、

私まだ準備出来てないのでまだまだ行けませんよ」






「なんだお前、そんなことを気にして言いに来たのか。

可愛い野郎だ。そんな焦んなくたって置いてったりしねぇよ」






「あ、ううん。違います。待たなくていいって話です。

いい加減辞めて貰えませんか自分の都合のいいように考える癖」







「別にいいぜ。今日は時間も伝えてなかったしな。

仕方ねえから少し待っててやるよ」






「あっ、えっと人の話を聞く癖は辞めないでください。

人の話はちゃんと聞いてくださいお願いですから」






ダメだ、この男に付き合っていたらマジで遅刻してしまう。






でもここで私が引いて、この男の言う通りにしたら

明日以降からこの男と登校する羽目になるのは目に見えている。






これ以上、調子に乗らせてはいけないと

扉の隙間からキッと彼をキツく睨んだ。






「実は私、車嫌いなんです。

人の家の車って酔っちゃうタイプなんで。

だからいつも通りバスで行きます。それではごきげんよう」






車嫌いなのに、バスはいけるという

とてつもなく矛盾する理由を早口で述べて扉を閉めようとしたのに、

隙間から差し入れた手でガッと扉を掴んだ跡部先輩に阻止された。






矛盾を指摘されるのではと身構えつつ、

チラッと彼の顔を覗けば跡部先輩は予想外の言葉を放った。






「なら、俺もバスで行く」






「えっ」

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 時雨さん» 右隣の男子が予想外に気にかけられすぎてて困惑しておりますww 高評価までありがとうございます…! お陰でノリノリに更新欲が湧いてきました! 頑張ります! (2020年12月16日 22時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 優さん» 右隣の男子は消えたりなどしないよ…ってことですねwwもちろん一番右側の☆押しておきました!! (2020年12月16日 19時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 時雨さん» 嬉しいコメントありがとうございます! なによりの励みになります!! 右隣の男子は……神隠し、ばいね……(今後本編で明らかになる……かも? それまではご想像にお任せしますww) (2020年12月16日 5時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - すごく面白くて一気読みしちゃいました!!これからも更新頑張ってください、楽しみにしてます!!右隣の男子はどこへ…? (2020年12月15日 22時) (レス) id: 9ccfd786f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/  
作成日時:2020年12月3日 18時

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